『好き、嫌い』
プチプチと花びらをちぎる。
すきかきらいか...ただただ花びらちぎる。
すき...きらい...きらいでおわってしまった。
さっきとはちがう花を見つけてまたはじめる。
すき...きらい... ...きらい。
なんぼんもなんぼんも花うらないしたせいか
足もとには花びらのない花と花びらでいっぱいになってた。
「あー!花をいじめてる!
わたし花をいじめてるこきらーい!」
そんなボク見てすきなこは走ってどこかへ去ってしまった。
花うらないはほんとうのようだ。
語り部シルヴァ
『雨の香り、涙の跡』
早朝5時。この時間は人が通ることはなく、
朝早くに出勤か夜通しで走る車しか見かけない。
その空間は僕にとっては散歩するのに
うってつけというわけだ。
それに今日は雨。晴れた空が見れないのが残念だけど
なおのこと人通りが減るから僕は結構好きだ。
ズボンの裾が濡れているが足取りが軽くなる。
傘に弾ける雨粒も一定のリズムを刻む。
楽しいなあ...そう思う中、
元気な話し声が雨音を貫いて耳に響く。
(誰だ...?こんな早朝から...)
傘を少し持上げ辺りを見回すと
元気な話し声を出している人が歩いてくる。
向かいから歩いてきた人はいつも世話になっている先輩だ。
僕の...憧れの人。
(先輩だ!早朝から会えるなんてラッキー....)
そう喜んでいたのも束の間、
上がっていた口角は徐々に落ちていく。
その先輩の姿は日常で絶対見ない寝巻きのような服、
ボサボサの髪、おそらく化粧をしていない...
そして何よりやたらと距離感の近い男が隣で歩いている。
2人とも楽しそうで、幸せそうだ。
(...)
傘を下げて先輩にバレないように早足で通り抜ける。
こんなとこで僕の心のモヤモヤが
静かになくなってしまうなんて。
しかも雨の勢いが強まってきた。でも良かった。
これなら鼻水をすすっても気づかれなさそうだから。
語り部シルヴァ
『糸』
君と私はずっと繋がっている。
昔君がいじめっ子から助けてくれてから私たちは始まった。
喧嘩したりもあったけど、私たちは絡み合えば合うほど
仲良くなっていく気がする。
それこそ腐れ縁かもしれない。
けれどどんな仲であっても私たちは離れられないと思う。
こんなこと言えば君はなんて言うだろうね。
きっと腐れ縁のことに
"そんなことない!"って全力で否定したり、
"だな。ぜっっったいに切れない何かで結ばれてる...
腐れ縁じゃなくて鎖縁ってね.."
なんてジョークを挟んでフォローしてくれるだろう。
実際に聞けばいいかもしれないけど、そんなことはしない。
君の言葉を借りるなら鎖縁かもしれないこの関係は
少しの歪みでも切れてしまうかもしれないから。
君と私は鎖のような、糸のような関係だから...
語り部シルヴァ
『届かないのに』
夕日に向かって手を伸ばす。
届きもしないのはわかってる。
それでも僕含めみんな通る道だと思ってる。
あの夕日はなんだろうか。
夢なのか憧れなのか...
僕はみんながやってるからやってみただけ。
夕日の逆光で手の輪郭が鮮明に見える。
部活のせいもあって輪郭はボコボコだ。
伸ばした手をギュッと握る。
夕日を掴めるわけもなく
ただただ暑くなった空気を掴んだだけだった。
語り部シルヴァ
『記憶の地図』
棚を掃除していると折りたたまれた紙がカサっと落ちてきた。
一瞬身に覚えなのないものだったが
持ち上げようと触れた瞬間記憶が蘇る。
紙を広げると自分ともう一人が書いた地図だった。
お気に入りのカフェや良く行くゲーセン。
お揃いの服を買いに行った洋服屋。
2人がどれだけ歳をとってもこの思い出を忘れないように。
そこで彩られた日々を色褪せないように...
今じゃなんの意味も無い紙切れだ。
躊躇したが紙をぐしゃぐしゃにして
ゴミ箱に捨てて掃除を続けた。
語り部シルヴァ