語り部シルヴァ

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6/15/2025, 10:54:06 AM

『マグカップ』

ガシャンと大きな音を立ててマグカップが割れる。
飲み物は幸い入っていなかったが
陶器の破片がかなり散らばった。
小さい頃からずっと使っていたから
そろそろ壊れるかなと思っていたが本当に急に壊れた。

陶器の欠片を一つ一つつまみあげる。
なんだか今まで使ってきた思い出を拾い集めている気分だ。
夏にはアイスコーヒーを、寒い日にはココアを。
何気ない日常の日々の中で嗜好品を味わせてくれた。

初夏なのに冷たくなった陶器は
まるで宿っていた命の終わりのような冷たさだ。

「...ありがとう。」
そう思ったから不意に言葉が零れた。

明日からのマグカップを買いに行かなきゃな...

語り部シルヴァ

6/14/2025, 10:52:45 AM

『もしも君が』

ねえ、もしも君が今辛い思いをしているなら僕は
君の力になれるかな。
飛び降りたいなら一緒に飛ぶし泣きたいことがあるなら
一緒に泣きたいな。

ねえ、もしも君が今幸せなら僕は
君から素敵な話を聞けるかな。
君の笑顔が好きだから君の幸せな話なら
どんなことだって聞きたいな。

ねえ。もしも君が今生きていたら...
僕は今も悔やむことなく君の隣にいれたかな。
あの日喧嘩別れさえしなければ君と今も
放課後の帰り道に買い食いできたかな。

ねえ...もしも君がもう僕のことを許してくれているのなら
僕はこれから幸せに生きていいのかな。
でも絶対そんな日はやってこない。
これからも僕は君のことを忘れず、
償う日々を送っていくつもりだから。

そんなもしもを考えても君が隣に現れることは無いけどね。
君のお墓の前で静かに手を合わせる僕の頭の中は
ずっとうるさいままだ。

語り部シルヴァ

6/13/2025, 11:12:11 AM

『君だけのメロディ』

新曲が投稿されて早速聞いてみた時に
その違和感は確信に変わった。

半年前、推していた作曲家が無期限の活動停止を発表した。
理由は明かされなかったが精神面の疲労や
恋人から夜逃げしたとか勝手な考察がされている。

しかしある日動画アプリでその作曲家が作品を投稿した。
コメント欄では復活を歓喜するファンで溢れかえっていた。
実際僕も嬉しかった。投稿された曲を何度も何度も聴いていた。
だがずっと聴いていると心のどっかで嬉しさよりも
違和感が増えてきた。

嬉しいはずなのにこの人の曲じゃない。
そんな気がしてならなかった。
作曲の方針を変えたのか...なんて思っていた。

そして今回投稿された曲を聴いてそれが確信に変わったのだ。
この人が絶対入れているメロディが無くなっていた。

僕がずっとその人を推していた理由がわかった。
そして僕はその人を推すのをやめた。

語り部シルヴァ

6/12/2025, 10:50:19 AM

『I love』

今私の隣にいるこの人は寡黙でいつもお世話になっている。
大抵の愚痴は聞いてくれるし
私がやりたいことに着いてきてくれる。
無理しなくていいよと言っても
「好きでやってるから」と嬉しいことを言ってくれる。
主体性が無いように見えてしっかりと芯がある。
そんな人だ。

今俺の隣にいるこいつは元気があっていつも世話になってる。
静かな俺の世界を賑やかにしてくれて
色んな所に連れて行ってくれて知らないことを知れる。
強要するように見えてちゃんと俺のことを考えてくれている。
自分勝手のように見えて周りのことが見えている。
そんな人だ。

幼馴染とかじゃなくて入学式の時知りあった仲。
なのに何故だろうか。

私は
俺は
家族や他の友達よりも
この人の隣にいるのが心地よい。

語り部シルヴァ

6/11/2025, 11:05:53 AM

『雨音に包まれて』

今日はずっと晴れの予報だったはずだ。
それなのにそれは暗いし世界は音を立てて濡れる。
近くに丁度いい公園があってそこで急遽雨宿りをしている。

空気が湿気っていて肌がベタついている感覚と
濡れた服がピッタリと貼り着くこの感覚が
梅雨だということを教えられた気分だ。

車が走る音も急な雨に走り出す人の声もあるはずなのに
やけに静かだ。
目を瞑れば雨音しか聞こえない。

柔らかい砂に当たる雨粒と
公園の遊具に当たる雨粒は音が違う。
そんな雨音に包まれているのも悪くないと思った。

...肌も衣服もべちゃべちゃじゃなければ。

語り部シルヴァ

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