語り部シルヴァ

Open App
3/18/2025, 11:03:22 AM

『大好き』

のんびり昼まで寝ること。
美味しいご飯をいっぱい食べること。
お昼寝すること。
一晩中映画を見ながらお菓子を食べること。
好きな曲を聴きながらお風呂で歌うこと。
綺麗な景色を見に旅に出ること。
床に赤い花を咲かせること。
お薬で気持ちがふわふわすること。
君の温もりを感じること。
君で私を満たすこと。

私の大好きなこと。

そして何よりも大好きなことが、
君との時間を共有できること。

毎日が大好きで染っていくと嬉しいな。

語り部シルヴァ

3/17/2025, 10:11:40 AM

『叶わぬ夢』

「お疲れ様。今日も頑張ってたね。」
「先輩お疲れ様です!これくらい全然ですよ!もっと頑張らないと!」
「熱心だね。応援してる。」

男女の仲睦まじい景色。先輩と後輩のザ・青春な世界に思わず羨ましいと感じてしまう。
私もあんなふうに青春を謳歌したい。
...私には叶わない夢だ。

「あ、お疲れ!今日も大変だったね〜。」
私を見つけて飛んでくる。犬みたいで可愛い。
「はいはいお疲れ。私汗臭いからそんな引っ付かないで。」
そんなことないよ〜と顔を擦るように私に引っ付く。

やれやれと思いつつ満更でもないこの感情に任せて頭を撫でる。
しっぽがあったらちぎれんばかりに振っているくらいに喜ぶ。

「青春だなー。」
「うん?どうしたの?」
「いや、別に。」

本当は君みたいに甘い恋が出来たらよかったのにな。
女同士だなんて言えば君はきっと離れていく。
だから、だから...
こんな風にずっと引っ付いてね。

君の頭をまた撫でる。
君はふにゃっとした笑顔で私を見つめた。

語り部シルヴァ

3/16/2025, 10:29:37 AM

『花の香りと共に』

桜まんじゅう、季節の桜風味の和菓子、
桜のフレーバーティー。
世まだ咲いていない桜を一足先にと
スーパーは桜に関する商品を続々と出していた。
食べ物だけじゃなく家具は桜模様だったり、
服は淡いピンク色が流行っているらしい。
中でも後で香るだろう桜の香水は絶賛人気中らしく、
在庫が追いついていないというPOPまで飾られていた。

あと2週間も経たないうちに
桜が咲いてお花見のシーズンがやってくる。
みんなその浮いてしまう気持ちを
商品を買ったりしてなだめているのだろう。
そういう風に考えれば経済はいい感じに
回っているのだと思う。

商店街も街並みも桜色で飾られた世界は
何もしていなくても心が少し明るくなる気がする。

あと少しで本場の香りがやってくる。
今は僕も気持ちだけ桜の季節を一足先に味わっておこう。
桜まんじゅうを買い物かごに入れて会計へと向かった。

語り部シルヴァ

3/15/2025, 10:28:02 AM

『心のざわめき』

三年生が卒業して春休みがやってきた。
...と言っても運動部の私はほぼ毎日
学校に来て部活をしている。
三年の先輩は夏頃から引退したから人数的には変わらない。
けれど春休みの学校はやけに静かでどこが寂しげだ。
まあ、私の所属している部活はそんなに
騒がしくするものじゃないから静かな方が集中出来る。
けどなんだろう。この静けさから胸騒ぎを感じる。

今は休憩中でご飯を食べてひとり青空を見上げていた。
「春になってきてるよね。どんどん暖かくなってくる。」
物思いにふけていたらいつの間にか先輩が隣に座っていた。

「先輩...そうですね。
寒いのは好きではないので嬉しいです。」
「そっか...早く暖かくなって欲しいね。」
はい。と答えて二人で空を見上げる。
この先輩は私が部活に入ってからずっと
面倒を見てくれた世話好きで優しい人だ。

...そっか、次の春には先輩も卒業...。
ずっとそばにいてくれた先輩も離れていってしまう。

(それは、やだな...)

そんなワガママな思いを吐くのをぐっとこらえて
二人でずっと空を見ていた。
雲ひとつない青空からは優しい陽気が照らされていた。

語り部シルヴァ

3/14/2025, 11:25:52 AM

『君を探して』

「そうですか...ありがとうございます。」
答えてくれた住民にお礼をしてその場を去る。
どうやらここにも君の情報は無さそうだ。

当たり前かもしれない。僕も初めて来た場所だ。
数年前、世界を崩壊に導いた大地震が起きた。
どこの国も壊滅寸前で、
ほぼ世紀末のような世界に様変わりした。
遠くに住んでいた君もあれから連絡が返ってこない。
移動手段を手に入れてから一目散に君のところへ向かった。
残念ながら君の目撃情報は見当たらなかった。
そこにあったのは...僕とお揃いのペアリングだけがあった。

元々1人を好む君だ。きっと1人でなんとか生きているはず...
そう信じて僕は国中を駆け回った。
そして今日。未開拓の最後の場所だった。
この国には君はいない。

...だから次は世界に行こう。
君が生きていることを信じて...

このペアリングを君に「忘れ物だよ」って言って渡すんだ。

語り部シルヴァ

Next