『心のざわめき』
三年生が卒業して春休みがやってきた。
...と言っても運動部の私はほぼ毎日
学校に来て部活をしている。
三年の先輩は夏頃から引退したから人数的には変わらない。
けれど春休みの学校はやけに静かでどこが寂しげだ。
まあ、私の所属している部活はそんなに
騒がしくするものじゃないから静かな方が集中出来る。
けどなんだろう。この静けさから胸騒ぎを感じる。
今は休憩中でご飯を食べてひとり青空を見上げていた。
「春になってきてるよね。どんどん暖かくなってくる。」
物思いにふけていたらいつの間にか先輩が隣に座っていた。
「先輩...そうですね。
寒いのは好きではないので嬉しいです。」
「そっか...早く暖かくなって欲しいね。」
はい。と答えて二人で空を見上げる。
この先輩は私が部活に入ってからずっと
面倒を見てくれた世話好きで優しい人だ。
...そっか、次の春には先輩も卒業...。
ずっとそばにいてくれた先輩も離れていってしまう。
(それは、やだな...)
そんなワガママな思いを吐くのをぐっとこらえて
二人でずっと空を見ていた。
雲ひとつない青空からは優しい陽気が照らされていた。
語り部シルヴァ
3/15/2025, 10:28:02 AM