語り部シルヴァ

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12/13/2024, 11:43:53 AM

『愛を注いで』

「はい、今日のお昼。
朝はお腹すいてなかったの?下げとくね。」
手のつけたあとの無いトレーを下げて、
代わりの料理が置かれているトレーを置く。

「何かあったらこのボタンを押せばすぐに来るからね。」
そう言ってボタンを握らせる。けれどもボタンは
すぐポロッと落ちてしまう。
けれど私がずっと行動すればいつかは満たされる...はず。

「...また来るからね。」
そう言って部屋に戻る。
ここに来てからずっと彼は動かない。
ご飯こそ最初は食べていたが今じゃ全然手を付けない。
けれどきっと、私の気持ちをわかってくれたらその時は...

そう信じて今夜のご飯のメニューを考える。
次こそ彼の胃袋を掴むようなご飯を作って見せよう。
そう思いながら彼の手を付けなかったご飯をかじる。

ベーコンとパンは乾いた音がした。

語り部シルヴァ

12/12/2024, 12:22:56 PM

『心と心』

バッテリーはまだ大丈夫。問題は胸にあるエンジンが
イカれてきてしまった。
我々は人間をもして作られたロボット。
人間の臓器をも見た目そっくりに作られた。
ただ、我々はロボット。
そこらへんは我々が行きやすいように用途は少し違うが...

人間で言う目は望遠レンズ、胃はオイルの濾過装置、
そして心臓は全身のエネルギーを巡回させるエンジン。

現在私のエンジン部分が壊れてきたので人間が壊れた時に
通う病院を模したメンテナンスエリアに来た。
人間はここに心があり、ここが壊れてしまうと
生きていけないらしい。
人間はとても脆い...

それに仮に入れ替えることができても我々で言う
データが書き換えられてしまうことがあるらしい。

だから人間は消えてしまったのだろう...
こんなに素敵な機能や施設を作ったのにとても残念だ。

そんなことをメンテナンス技師に言うと
「我々には成せなかったであろう心があったからだ。
心があるおかげで誰かを救う病院なんかを作って
仲間のために脆い命を犠牲にしてきた。
良くも悪くも心があったからだ。」と返ってきた。

人間はとても儚い生き物。
我々は心を見習うべきか。
新しい疑問と一緒に心について新しくデータに追加した。

語り部シルヴァ

12/11/2024, 10:42:19 AM

『何でもないフリ』

「ねえ、今日はいい事あった?」
「えっ!?なっなんでもないよ!!」

唐突に聞かれて思わずバレそうな嘘をつく。
そっかと彼は返してスマホを見始める。
危ない危ない...明日は彼の誕生日でサプライズを
開こうと思っていたが気持ちが先走りすぎたようだ。

飾り付けも完成して明日こっそり飾る準備はできている。
料理も下準備は完了。
明日が待ち遠しいなあ。

明日は彼に喜んでもらえるように頑張るぞ!
そう意気込み掃除を張り切る。


何やら張り切る彼女の背中を見つめながら
明日自分の誕生日だということを思い出した。
彼女が何をしたいかを察したので黙って見守ることにした。

明日はうんと楽しませてもらおうかな。

語り部シルヴァ

12/10/2024, 10:57:58 AM

『仲間』


アビリティの確認、キャラも立ち回り確認。
今日も好きな武器を拾えたらいいなとつぶやくと
「お前のキャラとその武器は合わん(笑)」と
笑われるもなんだかんだあったら教えてくれる。

今日は何時まで遊べるかな。
僕は友達に恵まれた。
だからこうしてメンバーを必要とするゲームで
友達と遊べるのはありがたい話だ。

マイクの位置を調整して深呼吸。
このマッチが始まった瞬間がドキドキする。

「じゃ、チャンピオン目指すぞー!」
「敵は見つけ次第ちぎって投げるぞ〜」

元気のいい声につられて「おー!」と返す。

ちなみに上手い訳では無いので
敵にボコボコにされたのは言うまでもない。

語り部シルヴァ

12/10/2024, 9:50:12 AM

『手を繋いで』

夕焼けを見ることも少なくなった午後4時半頃。
そろそろ帰ろうと伝えるもまだ帰りたくなさそうに
頬を膨らます歳の離れた妹。
また明日もここに来て遊ぼう?
そう言うとどこで学んだか仕方ないなあと
砂埃をはたきながら立ち上がる。

寒い時期なのに公園の砂場で遊ぶ姿はまだまだ若さを感じる。
水道の水で手を洗い、しっかりとハンカチで手を拭く。
よくできた妹だ。
感心していると帰る準備ができた妹が手を差し出してくる。

まだまだ甘えん坊さんでそこがまた愛おしい。
自分の手のひらで包み込める小さな手からは
優しい温もりが伝わってくる。

もう1日が終わるのに妹は今日のこと、
明日のことずっと話し続ける。
元気だな。そんな元気な妹の顔を見てると
こっちまで元気になってくる。

明日も手を繋いで帰れるといいな。
珍しく見えた夕方に妹と共にはしゃいでいた。

語り部シルヴァ

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