語り部シルヴァ

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『愛を注いで』

「はい、今日のお昼。
朝はお腹すいてなかったの?下げとくね。」
手のつけたあとの無いトレーを下げて、
代わりの料理が置かれているトレーを置く。

「何かあったらこのボタンを押せばすぐに来るからね。」
そう言ってボタンを握らせる。けれどもボタンは
すぐポロッと落ちてしまう。
けれど私がずっと行動すればいつかは満たされる...はず。

「...また来るからね。」
そう言って部屋に戻る。
ここに来てからずっと彼は動かない。
ご飯こそ最初は食べていたが今じゃ全然手を付けない。
けれどきっと、私の気持ちをわかってくれたらその時は...

そう信じて今夜のご飯のメニューを考える。
次こそ彼の胃袋を掴むようなご飯を作って見せよう。
そう思いながら彼の手を付けなかったご飯をかじる。

ベーコンとパンは乾いた音がした。

語り部シルヴァ

12/13/2024, 11:43:53 AM