『何でもないフリ』
「ねえ、今日はいい事あった?」
「えっ!?なっなんでもないよ!!」
唐突に聞かれて思わずバレそうな嘘をつく。
そっかと彼は返してスマホを見始める。
危ない危ない...明日は彼の誕生日でサプライズを
開こうと思っていたが気持ちが先走りすぎたようだ。
飾り付けも完成して明日こっそり飾る準備はできている。
料理も下準備は完了。
明日が待ち遠しいなあ。
明日は彼に喜んでもらえるように頑張るぞ!
そう意気込み掃除を張り切る。
何やら張り切る彼女の背中を見つめながら
明日自分の誕生日だということを思い出した。
彼女が何をしたいかを察したので黙って見守ることにした。
明日はうんと楽しませてもらおうかな。
語り部シルヴァ
『仲間』
アビリティの確認、キャラも立ち回り確認。
今日も好きな武器を拾えたらいいなとつぶやくと
「お前のキャラとその武器は合わん(笑)」と
笑われるもなんだかんだあったら教えてくれる。
今日は何時まで遊べるかな。
僕は友達に恵まれた。
だからこうしてメンバーを必要とするゲームで
友達と遊べるのはありがたい話だ。
マイクの位置を調整して深呼吸。
このマッチが始まった瞬間がドキドキする。
「じゃ、チャンピオン目指すぞー!」
「敵は見つけ次第ちぎって投げるぞ〜」
元気のいい声につられて「おー!」と返す。
ちなみに上手い訳では無いので
敵にボコボコにされたのは言うまでもない。
語り部シルヴァ
『手を繋いで』
夕焼けを見ることも少なくなった午後4時半頃。
そろそろ帰ろうと伝えるもまだ帰りたくなさそうに
頬を膨らます歳の離れた妹。
また明日もここに来て遊ぼう?
そう言うとどこで学んだか仕方ないなあと
砂埃をはたきながら立ち上がる。
寒い時期なのに公園の砂場で遊ぶ姿はまだまだ若さを感じる。
水道の水で手を洗い、しっかりとハンカチで手を拭く。
よくできた妹だ。
感心していると帰る準備ができた妹が手を差し出してくる。
まだまだ甘えん坊さんでそこがまた愛おしい。
自分の手のひらで包み込める小さな手からは
優しい温もりが伝わってくる。
もう1日が終わるのに妹は今日のこと、
明日のことずっと話し続ける。
元気だな。そんな元気な妹の顔を見てると
こっちまで元気になってくる。
明日も手を繋いで帰れるといいな。
珍しく見えた夕方に妹と共にはしゃいでいた。
語り部シルヴァ
『ありがとう、ごめんね』
「...っ」
今回の仕事のアイデアが浮かばずもう三日も経ってしまった。
締切はまだまだ先だが、
三日も無駄に過ごしてしまうと焦燥感が募る。
仕事中はパートナーに部屋に入らないでくれと
伝えている分心配をさせているだろう...
風呂やトイレはさすがに部屋から出るが
それでも話すことは少ない。
何も無いがひたすら頭を捻る。捻り出すものが出てこない。
どうしたものか...
悩んでいるとドアからノックが聞こえてくる。
「ごめん入るね。」
俺の返答を聞かずにパートナーが入ってくる。
「詰まってそうだから、
リラックス出来そうなもの良かったらどうぞ。」
そう言って机の空いたスペースに
いい香りがする紅茶とチョコが置かれた。
普段は仕事の最中にここまですることはない。
それほどパートナーに心配をかけさせていたのか...
「じゃ、お仕事頑張ってね。」
「待ってくれ!」
そう言って部屋を出ようとするパートナーを引き止める。
「ありがとう。それと...心配かけてごめん。」
俺の言葉にパートナーはニコッと笑い
「大丈夫だよ。応援してる。」と応援してくれて部屋を出た。
紅茶の香りとチョコの甘さが脳内をスッキリさせてくれた。
今なら行ける気がする。
滞った分を巻き返して、パートナーにお礼をするんだ。
そう思うとさっきまでの停滞が嘘のように進み出した。
語り部シルヴァ
『部屋の片隅で』
何もすることがなくて床に寝転がり天井を見つめる。
いや、やることやりたいことはあるが
それらがぶつかり合って何もする気力が無い。
ちらっと視界に入ったギターもやりたいことの一つだ。
最初はワクワクしながらいじっていたのに日が経つ事に
触れる時間が減っていき最終的にはケースから
出さなくなってしまった。
ケースも遠目から見てもわかるくらいホコリを被っている。
いつも行動力はなく、やっと動いてもこのザマだ。
重い腰をあげて手をつけてはすぐに冷める...
そんな繰り返しでやる気が微塵も起きなくなる。
...まだ日は昇っている。
時間はまだまだある。
けれど、こうやって堕落して時間を浪費していく。
変わらなきゃ。
わかってはいるはずなのに瞼は重くなり、
世界は真っ暗になった。
語り部シルヴァ