『ありがとう、ごめんね』
「...っ」
今回の仕事のアイデアが浮かばずもう三日も経ってしまった。
締切はまだまだ先だが、
三日も無駄に過ごしてしまうと焦燥感が募る。
仕事中はパートナーに部屋に入らないでくれと
伝えている分心配をさせているだろう...
風呂やトイレはさすがに部屋から出るが
それでも話すことは少ない。
何も無いがひたすら頭を捻る。捻り出すものが出てこない。
どうしたものか...
悩んでいるとドアからノックが聞こえてくる。
「ごめん入るね。」
俺の返答を聞かずにパートナーが入ってくる。
「詰まってそうだから、
リラックス出来そうなもの良かったらどうぞ。」
そう言って机の空いたスペースに
いい香りがする紅茶とチョコが置かれた。
普段は仕事の最中にここまですることはない。
それほどパートナーに心配をかけさせていたのか...
「じゃ、お仕事頑張ってね。」
「待ってくれ!」
そう言って部屋を出ようとするパートナーを引き止める。
「ありがとう。それと...心配かけてごめん。」
俺の言葉にパートナーはニコッと笑い
「大丈夫だよ。応援してる。」と応援してくれて部屋を出た。
紅茶の香りとチョコの甘さが脳内をスッキリさせてくれた。
今なら行ける気がする。
滞った分を巻き返して、パートナーにお礼をするんだ。
そう思うとさっきまでの停滞が嘘のように進み出した。
語り部シルヴァ
12/8/2024, 10:58:15 AM