語り部シルヴァ

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11/12/2024, 11:43:18 AM

『スリル』

沈黙の空間が続く...
一手間違えれば全てが終わる。

緊張して手が震える。
冷静に...冷静に...そんな思いをおしのけ
心臓は高鳴る。
こんな状況を楽しめるやつの気がしれない...

でも...カードは揃った...
ここで出るか...それとも...
いや、出る!

震える手でカードを出す。
「フルハウス!」

友人たちは...出せるカードは無さそうだ。

「お前の一人勝ちかよ!」「ずりー!」
「はいはい。約束でしょ?こいつらは貰うからね。」

深夜テンションで始まったポーカーがすごく楽しい。
ただ...年に1回ぐらいにしとかないとね。
どハマりしそうなスリルの味を
知っちゃったからには気をつけないとだから...

語り部シルヴァ

11/11/2024, 11:20:02 AM

『飛べない翼』

窓から空を眺めているとガラガラした鳴き声が聞こえた。
友人が窓越しにやってきて話しかける。

「お前、また空を眺めてるのか。」
「うん。君や他の子が空を飛んでるのが羨ましくって...」
「そんなに飛びたいなら飛べばいいだろ。」
「私の"これ"は飛ぶためにはついてないみたい。
それに...こんな狭い檻の中じゃ
羽を伸ばすことすらできない。」
「まだご飯に困らず寝る余裕があるから
俺もお前が羨ましいけどな。」

飯を探してくる。じゃあな。
とガラガラ声の友人は去っていった。

私は...。
普段ヒトがご飯を出してくる檻の入口をガジガジと噛む。
けれど檻はビクともしない。

...私はやっぱり飛べないんだ。
この小さな檻で永遠に生きるんだろう...
窓からさす陽の光はどうしても温もりが感じられなかった。

語り部シルヴァ

11/11/2024, 4:23:53 AM

『ススキ』

随分と遅くなってしまった帰り道。
明日は休みだから焦って帰る必要も無い。

空は晴れていて時折流れる雲が夜空と星を隠す。
のんびり歩いているとススキを見つけた。
いつも歩く帰り道なのに気が付かなかった。
ススキといえば十五夜のお月見に
添えられているイメージだった。
案外どこにも生えているのかもしれない。
十五夜の満月が目立ちすぎているから
影が薄くなっているだけだろうか。

1本引き抜こうとしたが小さい頃に手を
ズタズタにされたことを思い出して手が止まる。
いや影が薄い上に引き抜かれるのは可哀想だ。
なんて頭で言い訳しながら帰り道を歩き始めた。

ススキの擦れる音が静かな夜に添えられる。
前言撤回。ススキは充分秋の主人公じゃないか。

語り部シルヴァ

11/9/2024, 3:49:22 PM

『脳裏』

あの出来事は最悪だった。
友達だと思っていた相手に急に押し倒されて
抵抗も虚しく終わってしまったあの日。

相手からの好意がこれほど
悪い方向に向かうことがあるのかと初めて知った。
それと同時に相手を好きになることは
相手に迷惑をかけることと思うようになってしまった。
好きな人がいてもその好意が
相手を傷つけてしまうんじゃないか。
人を好きになんてなれないし、
なってはいけないとも考えるようになった。

あの日の出来事がどうしても脳裏によぎってしまう。
友人という皮を被った何かの血走った目を。
興奮して手首を強く握られたあの感覚を...

相手にそういうことをしてしまったりされる可能性が
少しでもあるのなら...

私は1人でいい。

語り部シルヴァ

11/8/2024, 11:56:12 AM

『意味がないこと』

「いつもありがと!じゃーねー!」
そう言いながら女性は手を振って人混みの中に消えていった。

「お前...人付き合いは
もうちょっと考えた方がいいんじゃないか...?」
その様子を見ていた友人は呆れたように問いかける。

「あの人結構人を都合良いように使うんだっけ?
まぁ僕は使われたと言うよりかは
好きでやったから気にしないよ。」

その返答に友人はまた呆れるもふふっと笑いながら
「お前のいいところだけどさ...」
と言いつつ最新作のゲームの話を振ってくれた。
優しい友人が隣にいてくれて嬉しい限りだ。

あの行為はこれからも周りから無意味だと言われるんだろう。
悪人に手を貸すなんてと悪態をつく人だっているだろう。

けれどこれが僕だ。
誰に言われても曲げない僕自身の"芯"のようなもの。
たとえ無意味だったとしても
やらずに後悔するよりかマシなんだ。

たとえ無意味でも、エゴでも...

語り部シルヴァ

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