語り部シルヴァ

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『飛べない翼』

窓から空を眺めているとガラガラした鳴き声が聞こえた。
友人が窓越しにやってきて話しかける。

「お前、また空を眺めてるのか。」
「うん。君や他の子が空を飛んでるのが羨ましくって...」
「そんなに飛びたいなら飛べばいいだろ。」
「私の"これ"は飛ぶためにはついてないみたい。
それに...こんな狭い檻の中じゃ
羽を伸ばすことすらできない。」
「まだご飯に困らず寝る余裕があるから
俺もお前が羨ましいけどな。」

飯を探してくる。じゃあな。
とガラガラ声の友人は去っていった。

私は...。
普段ヒトがご飯を出してくる檻の入口をガジガジと噛む。
けれど檻はビクともしない。

...私はやっぱり飛べないんだ。
この小さな檻で永遠に生きるんだろう...
窓からさす陽の光はどうしても温もりが感じられなかった。

語り部シルヴァ

11/11/2024, 11:20:02 AM