太陽
星が輝くの太陽があるからだ。
人の心が輝くのも太陽があるからだ。
おっと、この太陽は空にある太陽のことじゃない。
隣にいる大切な人のことだ。
我々はみな、星なんだ。
小さくも歪な形をしても、色が無くても...
もちろんひとりだと輝きが小さくて綺麗に輝けない。
でもそんな星を輝かせてくれるのが太陽という存在。
親でも友人でも恋人でも...
人の心にそれぞれ太陽は必ず存在している。
例え心がだろうが、曇りだろうが関係ない。
隣に太陽がいるだけで晴れるんだ。
私はあなたの太陽になりたい。
ここまで言って手を差し伸べる。
傷だらけの君は何それと笑いながら私の手を取った。
私がいる限りその星の輝きを止めさせやしない。
語り部シルヴァ
つまらないことでも
基本的に自分のしたいこと以外に興味を持たない友人がいる。
ずっと本を読んでて、僕らがおすすめしたもの全部
「興味無い。」の一点張りで返される。
だがお願いされると断れないようで、
遊びに出かける時に誘うと「仕方ないな」と
少し呆れながらも着いてくてくれる。
驚くことに、お誘いを断らないのは僕だけだという。
今日も映画を見に来たが、1人だと行きづらかったので
誘ってみるとまたかと言いながらも来てくれた。
チケット代を払おうとすると、「そういうのはいいから。」
と自分で払った。
映画はすごく良かった。
沢山語りたいところだが友人は興味のないものを
2時間も見せられたのだ。
まずはお礼を言わないと...
「今日はありがとう。不安だったけど楽しめたよ!
興味なかったのにごめんね」
「別に...」と友人は答える。
いつも通りの友人だと思い歩き始めようとすると
友人が口を開く。
「ボクは確かに人から勧められたものには興味が無い。
だけど、映画とか普段から誘ってくれる人のは少しは
興味を持つようにしている。
どれだけつまらないことでも、
君のような人と共感できるのは嬉しいから...。」
さっき見た映画の告白シーンが頭によぎる。
僕はまだ映画の中なのだろうか。
語り部シルヴァ
目が覚めるまでに
"恋は盲目"という言葉がある。
恋をすれば周りが見えなくなって、
相手のことしか見えなくなることだ。
今の私にピッタリな言葉だろう。
相手は酒とタバコが好きで、
性格も酷いとしか言いようがない。
でも、顔はめちゃくちゃにイケメンだ。
ちょっかいを出してきては私を虐めてくる。
こちらから連絡をすれば冷たくされ、
連絡をしなければ向こうから甘えてくる。
完全に私は沼にハマってしまったようだ。
長い関係を続けると私と仲良くしてくれる人が
傷つくかもしれない。
私を本当に大切にしてくれる人が
離れていってしまうかもしれない。
それでも私は彼が好きだ。
一時の感情でもいい。
目が覚めるまでに数日だけの幸せを得ていたいの。
語り部シルヴァ
放課後、いつも笑顔の友人がため息をついて空を見上げている。
どうしたのか?と問いかけると待ってましたと言わんばかりに友人が聞いてよ〜と愚痴りだす。
「明日、仲のいい好きな先輩と遊園地に行くんだけど、雨が降りそうなんだ...」
初耳だった。友人に好きな人がいること、その先輩と仲が良くどこかへ出かけれる関係だということ。
僕自身君と一緒にいろんな所へ行ってみたいし特別な関係になりたかった。
友人が話を続けているが、心臓がうるさい。
脈打つたび視界が揺らぐ。
「ねえ、大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれる友人に視界がはっとなる。
「だ、大丈夫。明日晴れるといいね...てるてる坊主作っとくよ!」
もう帰らなきゃとそそくさに帰ろうとする僕の背中に
「ありがとう!いつもありがとう!」
と友人が声をかける。
明日、もし晴れたら...
余計なことは考えず、てるてる坊主を逆さに吊るすことだけを考えていつもの帰り道を走った。
語り部シルヴァ
わたしはひとりが好きだ。
登校、休憩時間、放課後...
どんな時でもひとりが楽だからだ。
ある日私に付き纏う人が出来た。
登校も休憩時間も放課後もずっと隣にいる。
なぜ着いてくる?そう質問すると
あなたが一人でいるのに理由があるの?
と逆に質問された。
楽だから...そう答えようにも答えれなかった。
無いと答えるとあなたと一緒だ。と笑う。
そんな夏の太陽のような笑顔は私には眩しすぎた。
なんだかんだそんな日々が好きになっていた。
それがずっと続くと思っていた。
だがその人には恋人ができてずっと2人で
一緒になった。
わたしはまた一人。
今までひとりだったのに何をしても虚しい。
その時、あの人の質問の本当の答えを見つけた。
こんな寂しい思いをしたくなかったからだ。
その場に屈み、必死に涙を隠した。
だから、一人でいたかったんだ。
語り部シルヴァ