語り部シルヴァ

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放課後、いつも笑顔の友人がため息をついて空を見上げている。
どうしたのか?と問いかけると待ってましたと言わんばかりに友人が聞いてよ〜と愚痴りだす。

「明日、仲のいい好きな先輩と遊園地に行くんだけど、雨が降りそうなんだ...」

初耳だった。友人に好きな人がいること、その先輩と仲が良くどこかへ出かけれる関係だということ。

僕自身君と一緒にいろんな所へ行ってみたいし特別な関係になりたかった。

友人が話を続けているが、心臓がうるさい。
脈打つたび視界が揺らぐ。

「ねえ、大丈夫?」
心配そうに声をかけてくれる友人に視界がはっとなる。
「だ、大丈夫。明日晴れるといいね...てるてる坊主作っとくよ!」

もう帰らなきゃとそそくさに帰ろうとする僕の背中に
「ありがとう!いつもありがとう!」
と友人が声をかける。

明日、もし晴れたら...
余計なことは考えず、てるてる坊主を逆さに吊るすことだけを考えていつもの帰り道を走った。

語り部シルヴァ

8/1/2024, 10:51:00 AM