語り部シルヴァ

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つまらないことでも

基本的に自分のしたいこと以外に興味を持たない友人がいる。
ずっと本を読んでて、僕らがおすすめしたもの全部
「興味無い。」の一点張りで返される。

だがお願いされると断れないようで、
遊びに出かける時に誘うと「仕方ないな」と
少し呆れながらも着いてくてくれる。
驚くことに、お誘いを断らないのは僕だけだという。

今日も映画を見に来たが、1人だと行きづらかったので
誘ってみるとまたかと言いながらも来てくれた。
チケット代を払おうとすると、「そういうのはいいから。」
と自分で払った。

映画はすごく良かった。
沢山語りたいところだが友人は興味のないものを
2時間も見せられたのだ。
まずはお礼を言わないと...

「今日はありがとう。不安だったけど楽しめたよ!
興味なかったのにごめんね」

「別に...」と友人は答える。
いつも通りの友人だと思い歩き始めようとすると
友人が口を開く。

「ボクは確かに人から勧められたものには興味が無い。
だけど、映画とか普段から誘ってくれる人のは少しは
興味を持つようにしている。
どれだけつまらないことでも、
君のような人と共感できるのは嬉しいから...。」

さっき見た映画の告白シーンが頭によぎる。
僕はまだ映画の中なのだろうか。

語り部シルヴァ

8/5/2024, 4:14:00 AM