「懐かしく思うこと」
今懐かしく思えることが一つもない。
全て塞ぎ込みたい気持ち。
過去も未来も1ミリも考えたくない。
ただ今に留まりたくて今を生きることに必死すぎて。
いつか私に懐かしく思うことが出来るかな。
ただ辛い日々をいつかは懐かしく思う事ができるかな。
全部投げ出したい。
それだけ必死にやってきたつもりなんだけどな。
書こうと思っても言葉が出ない。
綺麗な形、言葉を残したいけど
これが今の精一杯。
「声が枯れるまで」
声ってどう出るか知ってる?
知らない。どう出るの。
私はそう答えた。
彼女は言った。
声はね、空気なんだよ。
あなたの呼吸が波になって伝わるの。
息をすることは生きること。声になり伝わることなんだよ。
なにそれ。と思った。
でも彼女を見たらそれがわかった。
今彼女は生きている。息をしている。
声は出ないけれど、声が聞こえる。
静かにゆっくりと。確かに彼女の声が聞こえる。
生きるために声を失わなければならなかった彼女の声が。
もっと沢山話しておけば良かった。
まさか声が無くなるなんて思いもしなかった。
ALS 全身の筋肉が衰え、声を出すことさえできない難病。
きっと怖かったよね。
動かなくなっていく恐怖。感覚、知能はそのまま残りただ動けないまま閉じ込められる病。
ねぇ、私の声聞こえる?
こうなることが分かっていて言ったのかな。
今なら分かるかもしれない。
声にならない声があることを。
「鋭い眼差し」
刺すような痛い視線を感じる。
どこにいてもみられているようで。
先生はいつも厳しい。
褒めたり、慰めたりは一度もなかった。
今ならそれが愛情だと理解できる。
どうして一人で行ってしまうの?
なんで私を置いて行ってしまうの?
「あなたはひとりでも大丈夫。
自分で可能性を潰してはいけないよ。
辛くても苦しくても腐らず前に進むんだよ。」
…大丈夫なわけないじゃない。
一人にしておいて自分勝手じゃない?
いつも見ていてくれたじゃない。
そうやって離れてしまうのね。
現実にはもう感じることはないと思うけれど
心の中ではあなたの鋭い眼差しを忘れないように。
「こどものように」
こどもの目は美しい。
ひとたび見る景色は
新鮮で色濃く鮮やかにその瞳に映る。
大人の目も美しい。
だけど、こどものように原色には映らない。
こどものように色眼鏡なしに鮮明に景色を見ることは難しいかもしれない。
大人って難しい。雁字搦めだ。
どうしても色褪せてしまう。
原色だけの華やかな世界を望むのは難しいかもしれない。
でも、こどものように
全部、全部。
感じるままに。見えるままに。
そのままの色を感じ取れる感性は宝物だと思う。
原石のように傷ついて、割れてそこから光り輝く
宝石もあると思う。
だから諦めなくていい。
色褪せているのもまた味かもしれないね。
「放課後」
放課後のチャイムと同時に体育館へ走り出す。
廊下は走らない。そんなルールはここにはない。
競っているかのように、追われているかのように
一目散に体育館へ向かう。
体育館の扉を開けると暑くて汗臭い。
うんざりする気持ちを抑えながら準備をする。
遅いと先輩に怒られるから。
座ることさえ許されないから。
地元を離れ部活に打ち込む。
毎日、朝練から夜遅くまで練習に打ち込む。
私なんでこんなに頑張るんだろう?
なんのためだろう?
辞めたい、逃げたい。
辛い練習を耐え、乗り越える。
それでも思い通りにはいかない。
何度も心が折れる。
地元に帰ろうか。部活なんてやめてしまおうか。
好きだったものがこんなに嫌いになってしまうなんて。
これが絶望感なんだ。塞がってるってこういうことなんだ。
頑張るってこんなに苦しいことなんだ。
じゃあ今までの私は頑張ってなかったんだ。
…それは屁理屈すぎるかな。
まだ認められないんだ。受け入れられないんだ。
ちゃんとやれなかったという思い出しかないの。
だけど、この苦悩が私に生きる道をくれた。
そんな私の青くて苦い放課後の思い出。