10/11/2023, 2:33:53 PM
「カーテン」
あの部屋、あの場所にはいないはずなのに。
締め切られているはずの無菌室。
それなのに何故かカーテンが揺れた。
フワッと揺れて頬に暖かい風を感じた。
「間違ってなかったよ。ありがとう。
それでも、苦しくても前に進まなきゃいけないよ」
って言ってくれたのかな。
思い出すのは、モニターの緑色の直線。無機質な高音。
繰り返されることのない呼吸。
青ざめていく肌色。
力が入ってないことが分かる筋肉。
穏やかな表情。
もう二度と開くことのない目。
もう帰ってこない
冷たくなっていくだけ。
その部屋には、もう次の患者がいて。
自身と治療と日々戦っている。
でも…忘れられないよ…。
だって数分前まで生きていたじゃない。
そんなに割り切れるほど私は強くないの。
悔しいよ。悔しすぎる。
いかないで欲しかった。
優しい貴女とまだこの世界を一緒に生きていたかった。
埃ひとつなく風の吹かないこの無菌室で
私はリベンジしなくてはいけない。
待っててね。いつか必ず会いにいくからね。
まだいってあげられない。
治療を待ってる人がいるから…
また私が迷ったなら
もう一度フワッと揺れてほしいな。