一尾(いっぽ)in 仮住まい

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11/27/2025, 2:39:14 PM

→気持ちを整えるために……


心の深呼吸を望んだことはないけれど、脳ミソを取り出して丸洗いをしたいと思ったことは、けっこうある。
脳ミソって細かい襞とか皺が多そうだし、カリカリと綿棒で掃除したら、すんげぇゴミとか汚れが取れそう。
そして、かなり「無」になれそうだと思うんだよね。


テーマ; 心の深呼吸

11/26/2025, 4:56:56 PM

→宇宙色の毛糸玉


毎年この時期になると、取り出す箱がある。中には、毛糸と棒針と編みかけのセーター。もう何年も編みかけのままだ。

毛糸は宇宙色で、ところどころに黄色や白、オレンジなどの差し色が入っていて、本当に星空のようだ。毛糸玉の状態でも可愛らしいし、編み上がった部品は、言わずもがな。
さっさと編めば良いのだけれど、何となくダラダラして進まないでいる。
毎年、箱から出して編み上がった身頃や袖を眺める。上手に編めたなとか、ここはちょっと目が詰まってんだよなとか、さらには、その当時の思い出も蘇ってくるから不思議だ。
もしかして、セーターを編み上げない理由は、毎年の思い出巡りを楽しみにしているからかもしれない――。
    
ハイ、格好つけました。
未完成の理由は、ただの怠け癖由来です。


テーマ; 時を繋ぐ糸

11/25/2025, 3:46:35 PM

→公園で、キレイな落ち葉を拾った。

あなたは、どういう道を経て、私のもとにやってきたのかな?

ずっとずーっと昔、種が芽吹いて、双葉を開いて、ニョキニョキ伸びて、ぐんぐん枝を張って、大きな木になって、緑の葉っぱを茂らせて、紅葉した葉っぱが木から落ちて、落ち葉になって、そして私に拾われた、って感じ?

ようこそいらっしゃいました。
ちょうど本の栞が欲しかったので、押し花になってもらおうと思います。
これから、よろしくね。
ところで、葉っぱでも押し「花」というのかしら?


テーマ; 落ち葉の道

11/24/2025, 2:09:05 PM

→短編・怖いヒト

君が僕の部屋に巧妙に隠した口紅を、彼女が見つけたとき、その姑息なやり口に怒りとか呆れとかを感じる前に、「終わったな」と。
完全に頭がスンと冷えた。

君は、迷惑な人だった。
僕たちのあいだには、何の関係もない。
君は、ある日突然に僕のことを好きだと何度も繰り返し、迫ってくるようになった。
警察に相談したこともあった。君はそのたびに何度も反省を口にして泣いた。もうしない、追っかけたりしない、付きまとわない。しかし、その約束が守られることはなかった。君はケロッとした顔で、翌日から同じことを繰り返した。
僕は君が何者なのか全く知らない。僕の個人情報をどうやって手に入れたのかもわからない。
オートロック式のマンションの5階の部屋に、君はどうやって忍び込んたのだろう?
僕ではなく、あえて彼女に見つけさせるために、口紅を隠した君が、僕は心底恐ろしい。

とにかく、もう嫌だ。解放されたい。
僕は、引っ越ししようと心に決めた。


テーマ; 君が隠した鍵

11/23/2025, 4:42:12 PM

→日記


仮に、時間を自分の中に留めたとする。どうなるだろう?
1日を秒に換算すると、(1分60秒、1時間60分、1日24時間。)60×60×24=86400秒。
たった1日が、86400秒! きっとすぐに身体は時間でいっぱいになって腫れ上がり……、バチン! 空気入れすぎた風船と同じ運命をたどるのではないだろうか。

時間を手元に置くことはできないので、文字でと網を作って、エイヤ!と投げうち絡め取る。
手放した時間を日記に書き綴ることについて、そんな風にイメージをしながら、今日の日記を書いた。


テーマ; 手放した時間

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