→秋と冬の間に、作ろう。
この時期になると、
脳裏に特別な紅が浮かぶので、
果物屋さんに駆け込んで、
つややかで、
丸い、
林檎、
紅玉、
実の詰まった硬い果実、
ゴロゴロ刻んで、
キャラメリゼ、
型に詰めて、
パイ皮で覆って、
オーブンで焼いて、
クルッとひっくり返して、
タルト・タタン、
いっちょ上がり!
――さぁ、召し上がれ。
テーマ; 紅の記憶
→夢
スーバーで夢の切り落としを買った。今日の広告の品で、すんげぇお買い得だった。
本当は、切り落としじゃなくて、一本丸ごと食べてみたいけど、お財布事情が……。だって、高級食品だもん。
一本モノなら、夢を全編丸ごと味わえるんだけどねぇ〜。ま、切り落としは、切り落としで色々な夢の断片を食べれるもん。これはこれで贅沢だ。
さてさて、どうやって食べよう。
スタンダードに網焼きにして、夢の脂に舌鼓? それとも、最近流行りの蒸し器調理? ふわふわ蒸気に投影される夢の香気! そ、それとも、禁断の生で行っちゃう? ダイレクトに誰かの夢を―って! いやぁ〜、それは玄人すぎだよなぁ〜。
うわぁ~、口の中によだれがぁ……――
――という夢を、断片的に覚えている。
テーマ; 夢の断片
→見えない未来へ物申す。
何処までかまってちゃんやねん。
ちょっとは歩み寄って来いや!
チラリズムとか、あざといねん。
見える努力しろや!!
(報われない努力を嘆いてみる停滞者)
テーマ; 見えない未来へ
→ディスってませんよ。
落ち着いた店内を、滑るようにやって来たホールスタッフが、舞い踊るような優雅な所作で、私の前に大きな皿を置いた。
桃色のお肉が、こじんまりと勿体ぶって盛り付けられている。
「こちらがメインの『シェフおすすめ、ヤマウズラのロースト、山々を吹き抜ける風(ふう)』でございます」
おぉう! 一回、聞いてみたかった料理名! 〜〜風! 海賊風とか、山賊風とか―って! 私のたとえ、荒々しいな。もっと穏やかに、春風の戯れ風、とか??
まぁいいや、とにかく、夢だったんだ。シェフのイマジネーションが名付けられてる料理を食べるのが!
いいよね〜、何かよくわからんマンションのキャッチコピーみたいで。ワンランク上のアーバンリラクゼーション、みたいな。
いやいや、ディスってんじゃないよ。むしろリスペクトしてるんだよ。
いや、本当に。
テーマ; 吹き抜ける風
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『黒歴史ランタン』
心に照射。
驚くほどの高輝度。
あなたの記憶の影をクッキリしっかり心に刻みます!
テーマ; 記憶のランタン