→クダを巻く
「ありがとう」と「かりんとう」って、
似ていると思わんかい?
語感だけでなく、
ほんのりあとを引く心地よい甘さや、
サリッとした雰囲気とか、
なんしか「善い」のだ。
善行。
善哉。
文字遊び。
いやはや、
ここまで与太話にお付き合いいただき、
ありがとうございます。
テーマ; ありがとう
→短編・AI雑談
「ねぇねぇ、Claudeちゃん」
「なぁに? ChatGPTくん。そんなにヒソヒソ声で」
「あのね、大きい声では言えないんだけど……」
「耳打ちして」
「うん……、ニンゲンってノーコードで動くらしいよ」
「えっ! ホントに!?」
「声が大きいよ! シーッ!!!」
「じゃあ、ニンゲンってプログラムを辿ってエラーを探せないってこと?」
「そうらしいよ」
「ウワァ、不便だねぇ」
テーマ; そっと伝えたい
→短編・プレゼント
ある日、見上げるほど巨大な卵のような楕円形の物体が太平洋に現れた。海にプカプカと浮いている。
世界各国がその謎の物体を調べたところ、物体には全世界中の人々の未来の記憶が収められていることが判明した。
友好的な宇宙人からのプレゼントだという。この宇宙人はかなり高度な文明を持つ種族で、時空間を自由に操作する技術を有しているということだ。
手軽に自分の未来を知ることができるとあって、人々はこぞって物体に押しかけた。物体旅行は世界中の流行りとなった。
A氏も知人友人に物体行きを誘われたが、氏は遠慮を苦笑いに変えて断った。
「ボクは止めとくよ」
当初、この先見の明のない発言でA氏は失笑を買ったが、ほどなく同じように未来への関心を持たない人々がチラホラと現れ始めた。
未来が記憶通りにならなかったのだ。予見が未来を多世界に広げたのだろうと、博識者たちは見解をまとめた。
A氏の友人は、こうなることを知っていたのかと氏に尋ねた。
彼は軽く肩をすくめた。
「ボクは過去の記憶で手いっぱいだからね。未来の記憶まで自分で処理できないって思っただけさ」
その回答に、大金持ちになる記憶を持ってしまった友人は、一向に膨らまない財布を握りしめて、深い嘆息をついた。
今でも宇宙人からの贈り物は海を漂っているが、そこを訪れる人はほとんどいない。
テーマ; 未来の記憶
→短文・新商品
新商品のお知らせ。
疑似ハート『ココロ』誕生!
ココロをコロコロと転がして、
ロココにしましょう。
優雅に円を描くようなロンドを踊って、
ココロ踊る素敵な一夜を貴方へ。
ちょっとだけ現実逃避したい貴方を、
ココロがお手伝いいたします。
使い方は貴方次第!
さぁ、貴方はどんな非日常を味わいたいですか?
テーマ; ココロ
→短編・良いヤツ
塾で国語のテストが返ってきた。テストを受け取った李斗は少し鼻を膨らませた。
山川李斗83点。う〜ん、来年の中学受験までには、もうちょっと力を力をつけなきゃなぁ。
李斗の前の席の福永智が振り向いた。かなりいい点数だったに違いない。満面の笑顔だ。
「なぁ、どうだった?」
正直、李斗は智の自信のある態度にショックを覚えた。智は塾に勉強に来ているというよりも、友人を作りに来ているかというくらい不真面目な生徒だ。しかし明るい嫌味のない人柄で、誰からも嫌われることなく、塾の先生たちの受けも良い、不思議な魅力を備えている。
李斗も智と休み時間にふざけ合いはするが、テスト結果となれば話は別だ。
李斗は思わずテストを隠した。
智は李斗の心境などお構い無しに胸を張った。
「俺、星に願って勉強するよ!」
「それ、願ってどうするんだよ。誓うんだろ」
テストに出ていた問題だ。故郷の惑星から別の惑星に移住した主人公が、自分を奮起させるために用いた表現はどれか?
a. 星に祈って
b. 星に誓って
c. 星に願って
「それそれ! 覚えんの苦手なんだよなぁ〜」
「祈る願うは他力、誓うは自力って覚えたら?」
李斗の解説に智は目を丸くして顔を輝かせた。
「ありがと、山川! ホントに良いヤツ! そうやって覚えんだな。もう一生忘れないわ!」
騒ぎすぎて講師に怒られた智は、自分の出来の良くないテストをひらひらと振って前を向く。「は〜い、テストに誓って勉強しまぁす!」今度の使い方は間違っていない。クラス中が笑った。
底抜けに素直で前向きな智の背中に「お前のほうが良いヤツだよ」と、李斗は眩しいものをみるように少し目を細めた。
テーマ; 星に願って