受験に合格しますように
家族が健康でありますように
ヒーローになりたい
恋人が欲しい
七夕になるとショッピングモールで毎年見かける願い事
天の川はまだ見た事ないけど
色とりどりの短冊が飾られてるだけで何故か幸せな気持ちになる
遠距離恋愛をしている私が頑張れるのは
一年に一度しか会えない織姫と彦星がずっと心だけは離れずに愛し合ってるって信じてるから
恋人に会いたいなんて願いは恥ずかしいから書かないけど
織姫と彦星が無事会えてるといいなって思う
そして少しだけ私に恋人に逢いに行く勇気をください
幼い頃私は両親と祖父母の家で暮らしていた
とても田舎だったがご近所の人も優しくてとても幸せだった
小学二年生に上がる頃父親が転勤する都合で私と母も一緒に引っ越した
初めての都会は少し緊張したが、数ヶ月もたってしまえばもう慣れっ子になってしまった
高校生になり友達と夏休みの話題になった
みんなで夏祭り一緒に行こうと予定を立てていると1人だけ祖父母の家に行くらしく、その子は夏祭りは不参加となった
(おじいちゃんとおばあちゃん元気かなぁ)
長い休みの時に帰省する話が何度か出たが、父親の仕事が入ってしまい、私一人で行く訳にはいかず結局行けずじまいだった
その日の夜友達とLINEをしながら久々に空を見上げた
こっちで暮らすようになってから夜に空を見上げることが少なくなった
向こうは夜になると満点の星空が広がり
それを縁側でおばあちゃん手作りのおはぎを食べながらおじいちゃんと星座の当てっ子をするのが好きだった
思い出したらなんだかおばあちゃんのおはぎが恋しくなってきた
私ももう高校生だ、両親を説得して1人で行ってみようかな
「うん…きっと大丈夫だ!私なら行ける!!」
友達にLINEで夏祭りに行けなくなったことを伝え
両親を説得するためにリビングへ向かう
待ってろ!満点の星空とおはぎ!!!!
度々夜になると考えることがある
なぜ私はここにいるのだろう
何のために産まれてきたのだろう
特になにかあったわけじゃない
いつも通り朝起きて
いつも通り仕事に行き
いつも通り上司に怒鳴られ
いつも通り残業し
いつも通り帰ってくる
ハラスメントが厳しくなっているこのご時世だが
会社は変わらずいつも誰かが怒鳴られている
けれどそれが入社当初から日常だったので今さら驚くこともない
それなのに夜になると考えてしまう
何故こんなに毎日仕事に行って怒鳴られているんだろう
「……疲れたな」
その一言を言ってしまった私は何科に操られているかのように窓の方へ歩いた
下を見ながら呑気に2階だけど高さはあるなと思った
さっきまで上から見ていた地面がどんどん近づいてくる
(このまま何もしなかったらどうなるんだろう)
そう考えてる間に身体に衝撃が走った
身体の感覚が遠くなっていく
(私はこのままどこへ行くんだろう…
あぁ…それを知ってるのは私じゃない)
__神様だけが知っている。
旅の途中で食料調達の為に狩りをしていた
獲物が多く狩りに夢中になり、気付けばもう日が沈む頃だった
夜の森は危険な場所だ、夜目がきかない分襲われやすくなる
「近くに村があったな、そこで宿を探そう」
村に向かう途中不思議な雰囲気の場所があった
そこは他に比べたら明るいが、木々が壁のように囲っていて詳細が全く分からない
少し気になったがスルーして村へ降りた
運良くすぐに宿が決まった
小さめなテーブルとイス、そしてベッドとシンプルな部屋だ
多少古い感じもするが…贅沢も言ってられない
「そういえば…」
さっきの場所はここの村の人なら何か知っているかもしれない
そう思った俺は受付の方に行き店主に聞いてみた
「さっきここの近くの山で不思議な場所を見たんだ
木が壁のようになっているのにその中の方が明るくて…」
『あぁ…泉のある場所だね』
「泉?」
『そこへ向かう道だけ石が埋め込まれてなかったかい?』
確かにあった、導くかのように地面に埋められた少し大きめの石が
『あんた旅人かい?行かん方がいい
あそこへ行った旅人は二度と出てこないと噂されている』
「そこで何があったんだ?」
『さぁな、詳しいことは分からんが
婚約者が何日も山に入って帰ってこない人がいてな
調査団が捜索へ向かったがそいつもその場所も見つからんかった』
調査団が探したのに…?
俺はさっき確かにその場所を見た
「もっと詳しく教えてくれ」
『やめとけ、何人も好奇心でその場所へ行ったが誰もここに帰ってこんかった』
それ以上は店主から何も聞けなかった
次の日、他の場所へ行きあの場所のこのを聞き出そうとしたが
みんな口を揃えてあの場所へは行くなとしか言わなかった
「結局詳しい話は聞けなかったか…」
行くなと言われれば行きたくなってしまう、旅人の性だろう
夜に改めてそこへ向かう
正直迷うかと思ったが、何故かすんなり着いた
多少不気味な感じはあるがここまで来たら引けない
「この道の先に泉があるんだよな…」
石を辿り中に入ると、そこにはさっきまでの薄暗いやまとは思えないほど綺麗な泉があった
「ほんとにあった…」
泉に近づき周りを確認していると足音がした
「誰だっ!?」
振り向くとそこには女が様子を伺うようにこちらを見ていた
「女…
もしかして、ニンフか…?」
ニンフは山や川など様々な場所にいると言われている精霊だ、こちらを害することもない
ニンフはにこりと笑いこちらに近づく
「ここは君の住処か?」
ニンフは頷き俺の手を取り泉へ走り出す
「そんなに引っ張ったら…危ない!」
2人で泉へ落ちた
幸い浅かったので怪我もなく、溺れることもなかった
ニンフは無邪気に笑い水をバシャバシャさせている
「ははっ…危なっかしいな」
俺も自然と笑みがこぼれた
その後もニンフとかけっこをしたり、食事をしたり
時間も忘れ楽しんだ
「今何時だ?そろそろ次の場所へ行かなきゃ…」
ニンフは俺の手を取り悲しそうな顔をする
「もしかして…俺を気に入ったのか?」
少し俯きながら頷いた
ニンフは人間とも結婚することがある、俺はその相手に選ばれたのだ
過ごしたのは短いはずなのに、自分自身も驚くほどに惹かれていた
「わかった…ここにいるよ」
ニンフはとても嬉しそうに笑い、抱きついてきた
俺も抱きしめながら
「まさかこんな所で俺の旅が終わるとはな」
顔が見えないようにニンフは笑みを浮かべた
その笑みは無邪気なものではなく、悪魔のような笑みだった
泉の入口の前では店主が立っていた
『結局行ったか、誓約のせいで詳しいことは話せんかったが
この道の先にはリャナンシーが住み着いているというのに…』
カーテンの隙間から太陽の日差しが入る
今日は休日、本音を言えばもう少し寝ていたい
チラッと窓の外を除くと久々に快晴だった
ここ最近梅雨が始まり曇りや雨が続いていてうんざりしていた
「あー…仕方ない、起きるか!」
キッチンへ向かい昨日買っておいた食パンでクロックムッシュを作る
「サラダかスープ
…よし!今日は両方作っちゃおう!」
スマホで音楽を流しながら料理を進めていく
調子に乗って若干作りすぎてしまったがその分は夜ご飯にでもまわせばいい
作ったものをランチBOXとスープジャーに詰めて
クロックムッシュの粗熱を取ってる間に出かける準備をする
メイクはナチュラルめにして、髪を軽く束ねる
服装も無地のTシャツとスキニーでラフな感じにした
「ピクニックへ出発!」
近くのカフェでカフェオレを買い芝生のある公園に行く
休日で子供連れの家族もちらほらいる中、私は木陰に座りランチBOXを開ける
まずはサラダから
「うん、ドレッシングもいい感じに出来たな
後でレシピをメモしておかなきゃ」
次にクロックムッシュ
「久々に作ったけど美味しー!」
カフェオレを嗜みつつ、口の中が空になったら最後はスープ
「あぁ〜、幸せ…」
休日にお昼近くまで寝て、家でグータラしながらデリパリーしたものを食べるのもいいが
晴れた日に外に出て自分で作ったものを食べるのも最高だ
日差しは鬱陶しく感じる時もあるが、逆に心の栄養になり活力を与えてくれる時もある
「また仕事頑張るぞー!」
明日からの天気は気にせず私はこの快晴をめいいっぱい楽しむのだ