: たとえ間違いだったとしても
たとえ間違いだったとしても
いや、間違いなどあってはならない
間違えればオレは、住処を追われる
オレは確かに見たんだ
密かにブツを隠すところを
オレを欺こうなんて、1年早い
問題なのは、あの手下のことだ
ずっと目を光らせてやがる
あの鋭い眼光
只者ではない
だがオレにはどうしても、アレが必要なんだ
もうこれ以上は待てない
しめしめ、用を足しにでも行ったのだろう
ヤツは静かに背を向けた
いまだ!
オレは音も立てずに動き出す
例の引き出しの前に立った瞬間
目のくらむような一撃が頭を揺らす
目を見開き振り向くと
必殺猫パンチが繰り出される
クソッ、罠だったのか
私をナメたアンタが悪いのよ
アンタがアレを狙ってることぐらい
気づかないわけないでしょ
ふふふっ
あのちゅ〜るは全部
私のものなのよぉ~
オレは呆気なく
膝からくずおれた…
桜月夜
: 雫
青空の下を走らせる先に
爽やかな緑が広がる
バイクの音が華やかにキレ
風を裂き一体化する
いつも立ち寄る社に止め
一息つくことにする
ここに来ると心が落ちつく
深呼吸しながら空気を感じていると
消え入りそうな声が聞こえてきた
周りに目を凝らすと
小さく震える体があった
子猫だ
辺りに母猫の姿はない
きっとはぐれてしまったのだろう
そっと手を伸ばし、ゆっくり触れると
震えながらも頬を寄せてきた
一人で怖かったよな
もう大丈夫、一緒に帰ろう
安心したのか、僕に預けるように
体を小さく丸めた
僕たちの新しい生活が始まった
君は今日から、月野 雫だよ
ミルクを顔いっぱいに飛ばしながら
名前が気に入ったのか
ミャ〜っと嬉しそうに笑った
桜月夜
: 何もいらない
ちょ〜高級マンションも
たっかぁ~い車も
でっかぁ~いダイヤの指輪も
あなたの愛も、そんなもの
何もいらないのよ
私はね、私は…
スシローのお寿司を、片っ端から
ぜ〜んぶ食べたいだけなのよ〜
2貫ずつとは言わない、1貫ずつでいいの
あなた、お願いよぉ~
僕は、何も気づいていなかった
妻の切実な願いを…
でも、やっぱりダイヤは欲しい〜
そうか
あなたには、イカあげるね
ありがとう
あなたのこと、大好き〜
どこまでが本当のことなのか
僕にはわからない…
ムニャムニャ
妻の寝言に振り回される日が
続いている
ん〜、お腹すいたぁ~
でも、なんだか幸せな気がする
桜月夜
: もしも未来を見れるなら
「未来への人生」
確か、2人の男性から思いを寄せられた
女性の、贅沢な話の映画…だったような
ある日、どちらを選ぶか悩んでいたら
どこからともなく神様?みたいなのが
現れて、女性に言うのよ
「あなたの知りたい未来を見せてあげましょう」
女性はその言葉にどっぷりのったのよね
でも結局欲が出て、どちらにも振られたのよ
私は、その時まだ若かったから
見えないほうが絶対いいわよって思ったのよ
知ってしまったらつまらないじゃないって
でも、この年になると
もしも未来を見れるならって…
仕事に追われる日々
彼氏も趣味もなし…
こんな状況がずっと続かもぉ~って
グダグダ考えあぐねるよりも
すぱぁ〜っと見たほうが…
いや、まって…
今より酷くなってたら私
生きていけないかもぉ~
ぐぅ~
なんだかんだで…生きていけそうだわ
桜月夜
: 無色の世界
無色の世界に色がはいる
どんな?
湧きいでる泉
木々の緑
太陽に 光
葉が風に揺り動かされる合間を
滑り抜ける柔らかな光は
無色の世界に色をのせる
無色は何者でもない
自由な存在
黒を飲み込めば、闇が生まれ
笑顔を飲み込めば、優しく煌めく
色は、人生を豊かにする
じゃあ、色はどうやって生まれる?
無色の世界
透明な色を重ねることで
あなたの人生は
より美しいものに変化する
無色という未来の色が
これからもあなたを、虜にする
桜月夜