: 風鈴の音
コバルト色の夏空に
もっちり白い入道雲
元気な緑が集うなか
揺蕩う優しい木漏れ日が
翳(かざ)した手から零れだす
粋に着こなした浴衣の首筋に
色香を忍ばせた後れ毛が
ふわりと風を纏(まと)わせる
涼しげな器に盛られた
色取り取りのかき氷
チリンと笑う風鈴の音に
カランと響く下駄の音が
暑さをコロンと和らげる
残しておいた線香花火
黄赤の光を舞い散らせ
寄り添うように丸くなり
儚く溶ける火の玉は
笑顔とともにいなくなる
桜月夜
7/12/2025, 5:54:46 PM