旅路の果てに
人生という長い長い旅のなかで、
人は人と生まれ出会い別れる。
それだけでなく、
毎日山や壁にぶつかり乗り越える。
しかし確実に乗り越えるわけじゃない。
乗り越える力がない時だってある。
そんな時は寄り道してもいい。
ちょっと休んでもいい。
なんならいっぱい寝てしまおうか。
ずっと歩き続けるのは大変だから、
時には止まってもいいじゃないか。
うさぎとかめみたいにレースをしている訳でもない。
その道は君以外誰もいないんだから。
誰からも追い越されないし、
誰も追い抜けない。
それでいい。
だから、
少し一緒に休もうよ。
街へ
山奥の人気のない所にたたずむ神社。
そこに住む僕はずっと一人ぼっちだった。
雨でも風でも台風でも快晴でも。
ある日、久しぶりに一人の女の子が神社に来た。
おかあさんがげんきになりますよーに。
願いをいったその子はすぐに立ち去ろうとした。
久しぶりの人を見たから話したかった。
行かないで。
声に出てしまった。
その子は聞こえたのか、振り向いた。
寂しいの。
うん。
じゃあもっと人のいるところに行こう。
どこ。
街だよ。
1人で行けないよ。
じゃあさ、
一緒にいこう。
優しさ
目に見える優しさだけが優しさじゃない、
と小学生にながら知った。
目に見えない優しさもある、
そんな人になりたいと思った。
だから自分はどうにかしてなろうと思った。
みんなが嫌と言うことを積極的にやって、
悩み事があったら相談に乗って。
大変だったけどそれで優しくなれるならって思った。
放課後教室に忘れ物を取りに行ったら、
会話が聞こえた。
あいつ本当に何でもやるよね〜。
パシリみたい。
辛かった。
優しくしてあげたのに、嫌な事をやってあげたのに。
走って逃げた先に鏡が目に入った。
そこにいたのは優しい自分ではなく、
偽善を振りまき押し付けた自分だった。
ミッドナイト
真っ暗な空間の中、
スマホの画面だけが光る。
ブルーライトを浴びながらキーボードを打つ。
"ミッドナイト"
書く週間を始めてから夜寝るのが遅くなった。
自分の話を考えるのが楽しくて、
自分の世界を現実でも作れて、
夢中になって書き続ける。
一段落して時間を見ると深夜の1時を回っている。
ベッドの中に入りスマホの電源を消す。
夢の中の僕の世界に行ってきます。
逆光
黒い影が僕に手を振っていた。
魅力的に見えて惹き付けられた。
どこか美しくて、
どこか懐かしくて、
片想いしていた彼女みたいだった。
無意識のうちに足が進んでいて、
止まらなかった。
急に腕が引っ張られて後ろに尻もちを着いた。
目の前を勢いよく車が通って行った。
何が起こったのか分からなかった。
影を見ると少しして消えた。
悔しそうな顔をしていた気がした。