夏草
夏が来ると必ず思い出す
青々と輝く草原を走り回りながら遊ぶあの子を
私の名を呼びこっちを見て笑う姿を
目を閉じるといつだって思い出す
何十年、何百年経ってもこの心に
あの子の成長を見守り支えた日々が積もっていく
でも、人間と私の一族は寿命が違ったから
別れは避けられなかった
私_ソリトゥーディニスが孤独の魔女と呼ばれるようになるずっと昔の話である。
Midnight Blue
あの世界の夜空に輝く星々が美しかったのは
貴方がそばにいたからだって今ならわかる
貴方の夜空を溶かしたような美しく優しい瞳が恋しい
もう一度、逢いたい
きっと忘れない
彼女を危険から守る為、元の世界へ帰らせた。
自分で決めたことだけど、辛くて悲しくてたまらない。
今もまだ俺を見つめる彼女の表情が離れない。
俺は、彼女を愛したことを、俺の魔法が好きだと言ってくれた彼女を忘れることはない。
だから今は溢れる涙を止められないことを許してほしい
さあ行こう
どこからともなく怪しいパイプオルガンの音がする。
「初めまして、気の毒な人間ちゃん」
振り向くと1人の女性がいた。
夜空を溶かした波打つ濃紺の髪、片目と片頬を覆う仮面、これまた夜空を溶かしたようなローブ、白いドレスを着ていてこの世の者とは思えない美しさだった。
これは彼の幻覚だれうか?
ふと彼女の後ろを見ると数えきれない老若男女がいた。
みんな彼女と同じ仮面をしていた。
ある者は、偽りの夢に溺れた少女。
ある者は、欲に溺れた少年。
ある者は、支配欲に狂った男。
ある者は、家族の幻想にうつつを抜かす女。
ある者は、誰にも認められず苦しむ者。
心にやみを抱えた人間は、誰も彼も孤独の魔女ソリトゥーディニスに囚われるのだ。
「さあ行こう、私たちの終わらない楽園へ!」
「ソリトゥーディニス様の仰せのままに…ソリトゥーディニス様の仰せのままに…」
差し伸べらた手は,苦しくて温かくて恐ろしかった。
まるでようやく母親に手を繋いでもらえた子供のような気持ちだった。
屋上に佇む彼は、魔女の手を取り楽園へと旅立った。
孤独の魔女ソリトゥーディニスは、今も現代社会の何処かを彷徨っているだろう。
次は,あなたの後ろに現れるかもしれない。
まだ続く物語
デスメモリアとの最終決戦が終わり、うつしみ市にはようやく平和が戻ってきた。
つまり、わたしたち魔法少女ムネモシュネの役割もこれで終わりということだ。
だけど…
「ねぇ、カメロン。デスメモリアとの闘いは終わってみんなの記憶は戻ってきたけど、本当にこれでよかったのかな」
「ん?これでよかったってどういうことカメ?」
わたしには、最終決戦が終わってからずっと胸に残っていることがある。
ーお前もいつか我々の思想がわかる日が来るはずだ。
その時は我々の想いを継ぐ者が現れるだろうー
「デスメモリアたちは、あいつらは浄化される直前にこんなことを言っていたんだ」
それに、前に助けた人も…
「何でよ…どうして記憶を返すの⁉︎こんな記憶いらなかったのに‼︎」
自分たちの行いが本当に正しかったのかわからず目を伏せた。
あの人もわたしも、そうなりたくはないけど、下手したらデスメモリアのようになっていたかもしれない。
「ツムギ…そうだね。彼らは、実はみんなの心の深い闇に潜んでいた気持ちなのかもしれないね」
「でも、君は辛い記憶も嬉しい記憶もどちらも自分のものだからちゃんと背負っていきたいって言っていたカメ!その気持ちさえ忘れなければ大丈夫カメ!」
カメロンはいつものように明るく励ましてくれた。
「…ありがとう、カメロン」
これから先の未来、記憶についてどう思うかはわたしにもわからない。
それでも、今この瞬間未来に残したい想い出がある!
それがわたしたち魔法少女ムネモシュネの想いだ。