どこにも書けないこと
確実にわかるのは、この世界に確かなものなんて
存在しないこと。
永遠や不変に囚われるのは
人に期待することは
苦しいことでしかない
どこにも書けない想いは話さない方がいい。
真実は歪められ、夢は潰されて燃えて灰になって終わるだけ。
時計の針
ひとつだけ願いが叶うなら
時計の針を今止めて
この世界に留まらせて
かけがえのないあの子とこれからも生きていたいから。
「魔法が使えるのに、時間は永遠に止められないなんて…。運命は優しいふりして残酷よね」
自分が思うよりもずっと、人間界を、あの子を気に入っていたことに気づいてしまった。
日付けは2月。
迫りくる別れの日を嘆くひとりの魔法使いの嘆きは闇世に溶けていった。
Kiss
唇から首筋へと降るキスは、私を狂わせていく
このまま堕ちてはいけないとわかっていても、
跳ねる心臓と熱くなる身体は心とは裏腹だ。
「俺のものになっておくれ…」
切なく囁く彼の瞳には、私しか映っていなかった。
1000年先も
たとえ何度生まれ変わっても君を見つけて
愛するのだろう。
だって僕は君が生まれる1000年前から
想い続けているのだから。
周りの誰よりも君を知っているはずだ。
だから、僕を受け入れておくれ…。
勿忘草(わすれなぐさ)
目を覚ましたら、自分の街に戻っていた。
近くにあった時計の時刻は、私が異世界に飛ばされてから30分ほどしか経っていなかった。
今までの出来事が、まるで嘘みたいだった。
でも、元の世界に帰る前に彼が私の左薬指に咲かせた指輪には、勿忘草が施されていた。左指に残るそれだけが異世界にいた真実を物語っていた。
勿忘草の花言葉は、「真実の愛」「私を忘れないで」
こんなことされて、彼を忘れて他の人と添い遂げるだなんてできない。最後までずるい。
「忘れるわけないじゃない…私だって別れたくなかった」
とめどなく溢れる想いは誰にも止めることはできなかった。