音楽だったり文学だったり芸術だったり。
そういうものに救ってもらうことの限界を知っている。
知っていて、見て見ぬふりをして生きてきた。
暗い世界に一人で落ちていって。
上の方にある明るい場所に手を伸ばす。そこには、そう
いうものがいる。でも、明るい場所に引き上げてくれる
ことはない。
暗い場所に一人でいるための手助けはしてくれるけれど
明るい場所への行き方を教えてはくれない。
結局、人なんだ。人を生かすことができるのは。
残酷で優しい真実だと思う。不純で綺麗な世界を作っているとも思う。それがいいのだと、思っていたい。
夏の花火を嫉ましいと思う自分も
貴方にひどいことをしたあいつも
消したい過去も怖い未来でさえも
全部壊して殺してしまえたらいいのに
きっとそんな行為に意味はない
言葉ではなく力に頼った自分は嫌われてしまう
それでも時折思う
壊すことなんて、殺すことなんて、簡単だから
守り方がわからない
そもそも守られたいなんて思っていないのかもしれない
無力だ
どうしようもなく無力で、脆くて、弱い
血が、止まらない
涙は、ずっと前から止まってくれない
どっちが悪いことなのかはわからない
加減を知らずにいられるほど馬鹿ではないけれど
加減を覚えられるほど利口な人間ではなかったらしい
君は一人じゃないと言われるよりも
私も一人だったよと言われることに救われた。
今までの辛いことは全てこの日のためにあったのかも
しれないと思うくらいにはいい日だった。
しんどくて消えたくて死にたい過去があったからこそ
感情を素直に伝えられて、分かってもらえて。
同じものを持っていたから
素直に伝えてもらえて、分かってあげられた。
一人じゃない。大丈夫。
ずっと欲しかった言葉で。それをすんなりとくれた。
この人と生きていきたい。生きて、死にたい。
久しぶりによく眠れそうだ。君も眠れているといいな。
昔から、年を越す瞬間が嫌いだった。
その1年を振り返って、何も変われていない自分自身が
浮き彫りにされる。それを自覚しなければいけないのは
苦痛だった。
また死ぬことができなかったと絶望して、新しい1年が
始まってしまったことに絶望して。
今回もそうなると思っていた。思っていたのに。
日付が変わった瞬間、着信があった。
「ハッピーニューイヤー」
明るくて、思わず笑みが溢れるような声が耳に届く。
話しているうちに、気づいたら笑っていた。
救われた。
未だに人を好きになることは怖いし、避けられるのなら
避けていたい。
死にたがりの人間が、誰かと一緒にいることを望んでは
いけないのに。
でも、無理だと思った。無理にしたくなった。
今までの自分を否定することになっても、よかった。
これから少しずつ恩返しがしたい。
恩返しがしたいから、できるまでは生きていたい。
そしていつか、直接ありがとうを伝えられればいいな。