今までの辛いことは全てこの日のためにあったのかも
しれないと思うくらいにはいい日だった。
しんどくて消えたくて死にたい過去があったからこそ
感情を素直に伝えられて、分かってもらえて。
同じものを持っていたから
素直に伝えてもらえて、分かってあげられた。
一人じゃない。大丈夫。
ずっと欲しかった言葉で。それをすんなりとくれた。
この人と生きていきたい。生きて、死にたい。
久しぶりによく眠れそうだ。君も眠れているといいな。
昔から、年を越す瞬間が嫌いだった。
その1年を振り返って、何も変われていない自分自身が
浮き彫りにされる。それを自覚しなければいけないのは
苦痛だった。
また死ぬことができなかったと絶望して、新しい1年が
始まってしまったことに絶望して。
今回もそうなると思っていた。思っていたのに。
日付が変わった瞬間、着信があった。
「ハッピーニューイヤー」
明るくて、思わず笑みが溢れるような声が耳に届く。
話しているうちに、気づいたら笑っていた。
救われた。
未だに人を好きになることは怖いし、避けられるのなら
避けていたい。
死にたがりの人間が、誰かと一緒にいることを望んでは
いけないのに。
でも、無理だと思った。無理にしたくなった。
今までの自分を否定することになっても、よかった。
これから少しずつ恩返しがしたい。
恩返しがしたいから、できるまでは生きていたい。
そしていつか、直接ありがとうを伝えられればいいな。
自分に価値がなくてもさ。
この世界には価値がある。
きっとあるから、生きている意味もきっとある。
生きている理由がわからないと言って
じゃあどうして死なないのと言われた深夜。
嘘でつくられた世界。
お揃いになりたくて、嘘で自分をつくった。
できあがった頃には別人になっていて。
それでいいと思ったし、それがいいと思った。
貴方が好きと言われる度に
本当の自分が死んでいった。