終電車に揺られながら
アルコールの回った頭で思ったことは
嫌いだった音楽をちょっと好きに変えてくれたあの人も
会おうと文字だけで約束して約束を破り合ったあの人も
死にたいと言われて生きてと伝えられなかったあの人も
同じ世界のどこかで
小さな幸せを見つけられる人であってほしい
それだけだった
人は嫌いになってしまったけれど
結局、僕は人と生きていくしかないらしい
終わるのが怖いから
始めない、と決めたときがあった。
始まるのが怖いから
終わりにしよう、と決めたときがあった。
孤独が怖いから
誰かに縋った夜があった。
その夜を思い出しながら
その誰かになった夜があった。
全ては表裏一体で。太陽と月みたいで。
でも二つとも、紛れもなく光だった。
少しのなにかで、隠れて見えなくなる光だった。
それでも僕は、誰かと一つになりたかった。
叶うことはないとわかっていながら。
また朝がくる。耐えられない。
きっと、眩しい。きっと、目障り。
僕が僕でいる限り、朝に怯えて生きて、死ぬ。
今日、子供に言われた。
「先生は、どうして悲しそうに笑うの。」と。
言葉が上手く出なかった。出てくれなかった、に近い。
子供の大人を見る目と、思ったことを素直に伝える力
には、いつも驚かされていたけれど。
今回に関しては想定外だった。
今まで誰にも気づかれなかったことを、気づかれた。
普段、僕は笑わない。仕事中に子供達と話しているとき
くらいは笑えていると思っていたんだけどな。
惨めで、情けなかった。子供達は、こんなにも真っ直ぐ
僕と接してくれているのに。僕は違う。僕だけは違う。
誰と関わるときも、僕は自分を全て見せない。
見せなければと思えば思うほど、見せられない。
そんな自分と長く一緒にいたおかげで、誰かといること
に抵抗感を覚えるようになった。
ただ有難いことに、僕を求めてくれる人は少なくない。
それが嬉しくて、虚しい。
皆、最初はいい。でも、時間が経つと変わってしまう。
結局、最後に残るのは期待に応えられなかった僕だけ。
だからもう、全てやめてしまおう。
やっぱり僕は一人でいい。寄りかかるものはいらない。
一人で、死ぬ。来世に少しだけ期待しながら。
愛される準備だけは、いつもできていた。
愛してほしい人には、愛してもらえなかった。
このすれ違いで恋愛はやめた。
もう眠りたい。また、愛してほしくなる前に。