一森くま

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9/7/2024, 3:39:10 PM

冬あたりに髪を伸ばしては、
夏にドライヤーで乾かすのが辛くなって
ばっさりとショートにカットすることが
ルーティンになっていること。

…さっきお風呂から出て
ヘアミルクを毛先につけていたら気づいてしまった。


私の知っている
ロングヘアの似合う素敵な人は
足の爪先から頭のてっぺんまで
手入れが行き届いていて
余裕があって
しとやかな雰囲気が出ると同時に
その人の周りが無重力に感じられるほど
明るくて、快活だ。
踊るように生きているように見えて
ロングヘアが最初から彼女に備わっているみたいに
自然体なのだ。


比べるわけではない。
比べるわけではないけれど

汗だくになって乾かし終えたあとの
必死な自分の表情を目の当たりにすると、たまらず
毎年夏の終わりには馴染みの美容室の予約を入れている。


「また、切りたくなっちゃって」

「今年の夏は特に暑いからねぇ」


何年も同じ会話を繰り返しているような気がして
美容師に対して、気恥ずかしさとありがたさが同居する。


温かいお湯が頭にかけられて
たまにしか嗅げないサロン用のシャンプーの香りが店内に充満していく。


…さて、どんな髪型にしてもらおうかな。

私はまた今年の秋に向かって進んでゆく。





8/29/2024, 2:13:27 PM

私はどうして欲しかったんだろう。

目を合わせることもできなくて

ありがとうも

ごめんなさいも言えなくて

ただ、ぶっきらぼうに

心と裏腹に

嘘をついて

その場をごまかしていたんだ。



何年も 何年も

変われる時は

あったはずなのに



今の今まで

気が付かなかった。





あのとき

私はどうして欲しかったんだろう。




言葉はいらない、ただ・・・

抱きしめてほしかったんだと思う。




子供じみた、愛情に飢えた

等身大の私を認められなかった。



温かさを求める自分を認めるところから

始めるほかない。


あなたを失ってから、気づいた私は

愚かなのか 

まだ間に合うのか

それは生きてみて

最後に分かるはずだから。






どこかで

あったかい陽の当たる場所で

私を待ってて。








8/21/2024, 4:44:54 PM

「もう、会えないと分かってたら

大切にできましたか?」


雨の降る晩、私の枕元に来て

問いかけてきた いつかの女の子。


私は何と言っていいのか分からずに

目を閉じながら、じっとしていた。



…ありがとう、と言いたいのに

言いたかったのに 言えなかった。


またあの時に戻ったら

ありがとうって言えたのかな?

また同じように壊れていたんじゃないのかな。




あの人が過ごしただろう壮絶な人生を想像すると

さっき病室で見た、赤ちゃんに戻っていくような寝顔は

この世での戦を終えて、次の目的や目標に向けて

備えているようなそんな感じもした。


 

もうきっと、喋れないんだな。

もうこの世界では…






朝起きると、枕がぐしゃぐしゃに濡れていた。

不思議な爽快感と焦燥感に駆られながらカーテンを開けた。
 
スズメが一斉に羽ばたいた。

数十羽は居ただろうに、一瞬でいなくなってしまった。






鳥のように、もうすぐあの人は旅立つ。


あなたに大切にできなかった分を、誰かに

そしてあなたからもらった希望と命を糧に

あの女の子だった私に微笑んでくれたことを思い出して


今、心のなかで ありがとう って叫んでる。

   




8/17/2024, 4:58:34 PM

眠れない夜に…

いつもは悪いことばかり考えるのだけど

今夜は幸せなことを考えていた。


今、私が持ってる幸せ

今、私が感じられる幸せを

虚ろ虚ろに指折り数えてみる。


こうやって文字を書いていることとか
今日食べて美味しかったもの
思いがけなく笑ったエピソード
明日食べる予定のご褒美おかし
失敗する前に分かって良かった気づきとか…


想像しているよりも結構、むしろ沢山あった。

それでも
満足しない感じがあるのは
きっとほんとうの幸せを遠くに感じているからだと思う。


日本語は、ときに美しすぎて尊すぎて

「愛している」
を簡単に言えないように、

幸せも
大抵の日本人には
大きくて歯がゆく感じさせるシロモノなのかもしれない。


幸せは
感じるものではなく
こびりついて剥がれなくて、見えなくなっているもの
だとしたら?


いつまでも捨てられないものって

実は 幸せ

そのものなのかもしれない。

8/17/2024, 9:22:26 AM

努力しなくても

元々、持ち合わせているものこそ

あなたの誇らしさ

いつかだれかに無邪気に微笑んだ

その表情こそ

あなたの持つ本来の誇らしさ

今は笑えなくても







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