「君と」
一度でもこれを口にした人は、
誰かを愛した経験がある人だと思う。
時間は関係ない。
一瞬でも、愛は存在する。
永く変わらないものだけが
愛と呼ぶのだとしたら
それは時代遅れ。
…はいいすぎかもしれないけれど
もっとカジュアルに
もっと息をするように
誰彼かまわず
愛を持ち合わせても
良い気がする。
今は、そんな時代な気がしてる。
#自由があるうちに愛を謳歌せよ
またね!
そう言って私は彼女との未来を手放した。
ずっと長い付き合い。
彼女はきっと、親友だった。
友情が執着に見え始めたのは
彼女から私への、言葉遣いの忠告だった。
それで、とか、だから、とか
そういう接続詞ひとつの問題だった。
親か誰かに、言われ続けたネガティブワードの一つなのだと思う。
ようするに、私のどこかが気に食わないのだろう。
私は彼女にはコントロールできない。
2人で同じ景色を見たかみないか、同じ思想、感覚を持って仲良くするなんていうことはそもそもはなから難しい。
彼女は私に幻想を抱いていたし
何年も前に会った私はもうそこにはいないのだ。
私を失いたくない、というよりは
割と本音を言い合えた旧知の仲である存在が自分から離れていくことへの執着を感じたのだった。
私が思うこと、感じることを止めさせたり
言葉を矯正する人を、私は友達とは呼ばない。
私の中でも友達の基準がいつしか変わっていたのだ。
お互いの生活や暮らしを続けていった先に
たまに、ごはんをたべたり、お茶をするくらいでいい。
どうにかしてほしいなんて思わない。
さよなら、彼女の中の私。
またね!なんて多分ない。
こうやって自我を思い知ることもある。
曲げられないこと、思わざるを得ないことが
私の中の確かな個性なのだと知る。
そっと伝えたいことなら山程ある。
悲しいことも苦しいことも
粉雪が舞い散るようにそっと伝えられたなら
どんなにいいだろうか。
実際には、粉雪では済まないほどの大雪で
1時間もすればどっさり積もって身動きが取れなくなる。
避けても避けても、降り続き溜まる一方の雪に辟易する。
もう、止むのを待つしかないのだ。
冬は冬。冬が来なければ、春は来ない。
悲しむことができるのは
悲しいと思える心があるから。
人に悲しみを誰彼伝えるその前に
自分の心にそっとブランケットをかける。
例えば、ひとりになって 音楽を聴いて…
そんなことできる気がしない?
そうかもしれない
でも、気持ちをぶつける対象を
変えてみるだけ
できるとこから
変えてみるだけ
0%変えないままなら
5%でも変えた事実を
私は愛したいから。
今、降り積もる雪を見ながら
残りの冬の時間にできることを
想像してみる。
うちから見る冬の星は決まってスパンコールみたいにキラキラと輝いている。
雪がたくさん降っていて、昼でも3分外に立つのがやっとの極寒地域なのだ。
夜には誰も歩いてない。
当然、外で星を眺めている人もいない。
なんだかとにかくもったいないのだ。
夜、うちでご飯をたべて、知人を家まで送るときに
空が晴れていると決まって言う台詞がある。
「ほら、星きれいだよ」
「ほんとだ」
…何度もこの掛け合いをしているような気がするが
この田舎にはもったいないくらいキラキラ輝く星たちを間近にすると、つい言葉に出してしまいたくなる。
流れ星は一、二度だけ見たことがある。
とてもじゃないが願い事など考える余裕もなかったし
考えたところで世界平和みたいなざっくりしたものしか浮かんでこなかった。
うちの星たちは、今日も
あいも変わらずキラキラ輝いている。
じっくり見ながら、願い事を考えていた。
…叶えたいことか。
案外星に頼ってみてもいいかもしれないと
うまくいきますように、と唱えた。
誰も知らない秘密
…数年前まで
数え切れないくらいあったような気がする
これを言ってはいけないとか
あれは隠しておくべきだとか
嘘は嘘を呼び 秘密は秘密を呼ぶ
どんどん真実が遠くなっていって
誰かの笑い声に辛くなる
苦しさを突き抜けて
もう無理だと思ったその時、
真っ黒い世界と
真っ白い世界の
どっちか選ばなければいけないよ
と誰かに言われた気がした
実際そんな感じで
これが分岐点なんだよな
と思う出来事があった
秘密を持つのはやめた
やめてよかった
たくさんの荷物を抱えてるみたいだった
あの頃があるから
今は両手が軽いんだな
軽いまま、軽さを感じたままに
これからも生きていきたい
ひとつだけ
秘密を持つのをやめてみたら?
…と偉そうには言えないけれど
呟いてみる