芝草

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8/17/2024, 1:09:24 PM

『いつまでも捨てられないもの』


我ながら、実に愚かだった。
僕はクローゼットの前でため息をついた。

この間、彼女と行った旅行で、
自分の土産として買ったTシャツ。

店で一番派手で、
一番訳のわからない柄のヤツを
二人でゲラゲラ笑いながら買ったのだ。

だけど、こんなTシャツじゃあ、
宅配便を受け取ることすら恥ずかしい。

……じゃあ、何で買ってんだ、って?
そんなのこっちが聞きたいくらいだ。

とはいえ、捨てるにはもったいない。
部屋着にするしか、ないだろう。


その後、彼女が僕のうちに遊びに来た時だ。
彼女は僕の部屋着を見て、
あの旅の時と同じくゲラゲラ笑った。

やかましいのに、まぶしくて、
こっちまで笑い出したくなるような、
その彼女の顔を見て、ようやく僕は気がついた。

なるほど、だから僕はこのTシャツを買ったのか、と。



8/16/2024, 3:19:43 PM

『誇らしさ』

たとえ誰も愛でなくても
お日様に向かって力いっぱい花を咲かせてる。

あの道端のヒマワリが、どうしてか、
私には誇らしげに見えるのです。

8/15/2024, 1:21:15 PM

『夜の海』


耳をすませば、聞こえるかしら、私にも。
海藻のベッドの上で眠る魚の坊やのために
やさしく歌う魚の母さんの子守歌が。

静かに揺れる波の音と、その子守唄を思ったら
なんだか私も眠たくなっちゃった。

8/14/2024, 1:08:25 PM

『自転車に乗って』


山ほどのすり傷をこしらえて、
半べそかきながら練習をして、
やっと転けずに乗れるようになった頃
わたしは、得意になってたの。
「きっと今のわたしなら、これさえあれば、どこへでも行ける」って。

町で一番大きな図書館とか、
近所のヤツよりもうんと広い公園とか、
誰も持っていないオシャレなペンを置いてる文具屋とか。
引っ越しちゃった、あの子の住む街とか。


いつしか自転車よりも早く遠くに行ける乗り物に慣れた頃、
私はふと、思ったの。

これさえあれば、今の私はどこでも行ける。
その思いがあれば、いつでも、どこへでも行けたのかなって。

8/13/2024, 11:53:58 AM

『心の健康』

自分以外の誰かの心の健康を思って
言葉を選べるだけの余裕

たぶん、それが、私の心の健康の証

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