芝草

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8/12/2024, 11:48:19 AM

『君の奏でる音楽』


本音を言うと、耳障りだと思ったこともありました。

ただでさえ暑いのに、
聞いてるだけでよけいに暑くなる
と、舌打ちすらしたくなる日もありました。

でも、その生涯の大半を、地下で過ごしていた君が、
太陽の光に照らされたまぶしいステージへ
ようやく上がってきたのだと思うと
そんな悲しいヤジを飛ばす気には
とてもなれないのです。

残りたった数日と言われるその命の限り、奏でている君の音楽に、
汗ばんだ笑顔で耳を傾けられる人でありたいな
と、思うのです。

おしっこだけは、引っかけられたくないけどね。

8/11/2024, 12:54:19 PM

『麦わら帽子」


母さんからは
「出かけるんなら、被っときなさい。今日も暑いんだから」って言われてたけど、
正直、あんまり気が進まなかったの。

だって今日のスカートには絶対似合わないし、
セットした髪だって崩れちゃう。

だから、カバンの底に押し込んで、
仕舞っておこうかとも思ったんだけど、

待ち合わせに現れた君の笑顔を見た途端、
思わず被ってしまったわ。

あんまり眩しかったんだもの。

5/22/2024, 2:00:30 PM

『また明日』

キミと並んで歩く帰り道。
夕日に染まるいつもの別れ道に差し掛かった時だった。

「じゃ、私はこっちだから。さようなら」
キミはいつものようにそう言った。


言えなかったな、また今日も。

遠ざかるキミの後ろ姿を見ながら、僕は思う。

ほんとは、ずっとキミに伝えたい言葉があったのに。

だから。
僕は、また今日もキミに言う。

「また、明日」と。

12/24/2023, 12:36:37 PM

『イブの夜』


「今夜は特別。イブの夜」
みんな私にそう言うの。

特別だから
夕飯はご馳走だったし、ケーキも食べて良いんだって。
特別だから、
夜の間にサンタさんからプレゼントが届くんだって。

年に一度の、特別な夜だから。
みんなは私にそう言うの。

だけども、私は知ってるの。

たとえ、イブの夜じゃあなくっても
「明日は何して遊ぼうか」って相談しながら
一緒にぬくい布団に入れる夜こそが、
きっと幸せな夜なんだ、って。

12/23/2023, 12:33:24 PM

『プレゼント』


いつ頃だろうか。
「今年は何をサンタさんにお願いしようか」と、
プレゼントに悩んでいたのは。

近所の友達が持ってるゲームとか。
読みたかったマンガとか。
普段は駄々をこねても買ってもらえないオモチャとか。

欲しいものはたくさんあったから、
それはそれは、難しい問題だったっけ。

それなのに。

いつからだろうか。
あれが欲しい、これが欲しいと、願ってばかりの僕が
「あの子が欲しがるプレゼントは何だろう?」と
毎年悩むようになったのは。

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