今日も今日とて海賊。
宝物を探しに、大海原を駆けている。
もう仲間たちは発見して、残すは一人。
自分だけだ。
皆、箱を開けると、子を見つめる親のようになる。
そして笑い出す。泣きながらの奴もいれば、ちょっと残念そうな奴もいる。
昨日降り立ったこの島。ノッポの木々に抱かれ、生い茂る草花と歌い、見知らぬ動物たちと踊る。
陽光が差し込む方へ進むと、突然白い靄に包まれた。
そして、いつの間にか遺跡が現れた。
そっと、空気のように忍び込む。
真っ暗ではない。トンネルの構造に近いのか。
手が何本も生えた人の像が、いくつもある。
目を伏せているのに、自分に視線が集まってる気がする。
抜けると、目の前に滝があった。崖で段差が作られている。
その中腹に木箱が置いてあった。
取りに向かおうと踏み出すと、あちらからやって来た。
頭に血が昇る。手先足先が震えだす。制御できない。
興奮して開けると、中には、、、
思わず失笑した。
宝物ってずっと前から、側にあったんだなって。
早く船に戻ろう。
そして宴だ。
俺の宝物と。
瞼を上げる。一面の銀世界。まるで絵の中に飛び込んだよう。
街灯はオレンジ色に灯る。誰も彼もが巣に帰る。
街も眠りについている。なのに空は鼠色。
ビルの壁面もコンクリートもその色で、馴染みがあるのに違う世界に来たみたい。
灰色をソリで駆けるのが見える。そういえばクリスマスは今日だったっけ。
窓から幸せが漏れている。それぞれの家にキャンドルが灯る。
「待った?」
頬を赤く染める貴方。
ふたりの手をポケットで暖めて。
私にもキャンドルが灯る。
私の「青春の想い出」って作品があったら、登場人物は私、ただ一人だけだろうな。
それほど、誰の特別になる訳でもなく、目立たずに、ひっそりと、過ごした。
上手に生きたかった。普通の青春を送りたかった。
そんな風に想うこともあるけど。
こんな私も、私は愛しい。
明日を上手く描こうとして、
消して、直して、重ねて、模倣して。
私の人生ってノートは、ボロボロだけど。
これから先、もっとボロボロになるだろうけど。
消しすぎて破けたり、色を重ねすぎてくすんだりなんてこともあるけど。
それでいい。
他人に羨まれる私になるより、自分に誇れる私でありたいから。
これからたくさんの想い出でページを埋めていくんだ。
冬になったら私は、地球と抱きしめ合う。
鎧を外した、素顔の木々と
痛々しいほどの、木枯らしと
身を寄せている、小鳥たちと
行き先のない、虫と
裏にいる、あの季節と
聖なる書の、天使と
移ろいゆく時代と共に生きる、大地と
塔を壊されても、神に阻まれても、言葉を分かち合う、あなたと
抱きしめ合って、支えて、支えられて。
私は、たえる、
冬になったら、抱きしめ合う。