くるくる
まきまき
あみあみ
きゅっきゅっ
ふわふわ
すぽっすぽっ
もこもこ
ぬぎぬぎ
ぱちぱち
あったか〜い
セーター
ある日、散歩をしていると穴を見つけた。
足の大きさ程の穴だったので、またいで通った。
次の日、また穴があった。
24インチのテレビくらいの大きさだった。
大きくなっている気がしたが、横を通った。
1週間後、その穴は玄関のドア程の大きさになっていた。
横に足場もなかった。
仕方がないので、他の道を通った。
1ヶ月後、様子が気になったので、穴まで向かうことにした。
もはや谷だった。
橋を架けなければ通れないほど、大きく、長く、果てなかった。
どうやら近所でも、話題になっているらしい。
路地なので迂回する道は山程あるが、不便だと。
だんだん大きくなる穴に疑問をもった。
夜に変化しているのではないかと考えた。
その日の夜、穴を見に行くことにした。
それは、ぶくぶくと黒い泡を出しながら、道路に侵食していた。
その音をしばらく聞いていると、人の声のようなものが聞こえた。
しかし何を言っているか分からない。
しゃがんで、泡に耳を近づけた。
ありがとう、と聞き取れた気がした。
と、いうのもいつの間にか、真っ逆さまに落ちていたからだ。
それは退屈な授業のようにも、一瞬にも感じられた。
底は、クッションが敷き詰められてるようだ。
さすがに頭から着地すれば、助からないと思うが。
ここまでで、何か分からなかったことある?
大丈夫?そっか。じゃあ、話を続けるね。
あ、そうだ、そうだ。
俺、暗闇に一人で不安だったんだよね。
落ちてきてくれて、ありがとう。
どうすればいいんだろう、この気持ち。
どうすればよかったんだろう、あの時。
どうしたらいいんだろう、この先。
渦に呑まれてゆく。
このまま気流にのって
雲になって
雨になって
地が固まって
立てるようになって。
どうしたらいいの?がない人生は、いざって時に踏ん張れない。
そう思うとほんのちょっぴり、呼吸が落ち着く。
今日も今日とて海賊。
宝物を探しに、大海原を駆けている。
もう仲間たちは発見して、残すは一人。
自分だけだ。
皆、箱を開けると、子を見つめる親のようになる。
そして笑い出す。泣きながらの奴もいれば、ちょっと残念そうな奴もいる。
昨日降り立ったこの島。ノッポの木々に抱かれ、生い茂る草花と歌い、見知らぬ動物たちと踊る。
陽光が差し込む方へ進むと、突然白い靄に包まれた。
そして、いつの間にか遺跡が現れた。
そっと、空気のように忍び込む。
真っ暗ではない。トンネルの構造に近いのか。
手が何本も生えた人の像が、いくつもある。
目を伏せているのに、自分に視線が集まってる気がする。
抜けると、目の前に滝があった。崖で段差が作られている。
その中腹に木箱が置いてあった。
取りに向かおうと踏み出すと、あちらからやって来た。
頭に血が昇る。手先足先が震えだす。制御できない。
興奮して開けると、中には、、、
思わず失笑した。
宝物ってずっと前から、側にあったんだなって。
早く船に戻ろう。
そして宴だ。
俺の宝物と。
瞼を上げる。一面の銀世界。まるで絵の中に飛び込んだよう。
街灯はオレンジ色に灯る。誰も彼もが巣に帰る。
街も眠りについている。なのに空は鼠色。
ビルの壁面もコンクリートもその色で、馴染みがあるのに違う世界に来たみたい。
灰色をソリで駆けるのが見える。そういえばクリスマスは今日だったっけ。
窓から幸せが漏れている。それぞれの家にキャンドルが灯る。
「待った?」
頬を赤く染める貴方。
ふたりの手をポケットで暖めて。
私にもキャンドルが灯る。