ある日、散歩をしていると穴を見つけた。
足の大きさ程の穴だったので、またいで通った。
次の日、また穴があった。
24インチのテレビくらいの大きさだった。
大きくなっている気がしたが、横を通った。
1週間後、その穴は玄関のドア程の大きさになっていた。
横に足場もなかった。
仕方がないので、他の道を通った。
1ヶ月後、様子が気になったので、穴まで向かうことにした。
もはや谷だった。
橋を架けなければ通れないほど、大きく、長く、果てなかった。
どうやら近所でも、話題になっているらしい。
路地なので迂回する道は山程あるが、不便だと。
だんだん大きくなる穴に疑問をもった。
夜に変化しているのではないかと考えた。
その日の夜、穴を見に行くことにした。
それは、ぶくぶくと黒い泡を出しながら、道路に侵食していた。
その音をしばらく聞いていると、人の声のようなものが聞こえた。
しかし何を言っているか分からない。
しゃがんで、泡に耳を近づけた。
ありがとう、と聞き取れた気がした。
と、いうのもいつの間にか、真っ逆さまに落ちていたからだ。
それは退屈な授業のようにも、一瞬にも感じられた。
底は、クッションが敷き詰められてるようだ。
さすがに頭から着地すれば、助からないと思うが。
ここまでで、何か分からなかったことある?
大丈夫?そっか。じゃあ、話を続けるね。
あ、そうだ、そうだ。
俺、暗闇に一人で不安だったんだよね。
落ちてきてくれて、ありがとう。
11/24/2024, 1:57:37 AM