瞼を上げる。一面の銀世界。まるで絵の中に飛び込んだよう。街灯はオレンジ色に灯る。誰も彼もが巣に帰る。街も眠りについている。なのに空は鼠色。ビルの壁面もコンクリートもその色で、馴染みがあるのに違う世界に来たみたい。灰色をソリで駆けるのが見える。そういえばクリスマスは今日だったっけ。窓から幸せが漏れている。それぞれの家にキャンドルが灯る。「待った?」頬を赤く染める貴方。ふたりの手をポケットで暖めて。私にもキャンドルが灯る。
11/19/2024, 11:26:50 AM