たとえ間違いだったとしても
たとえ間違いだったとしても
その一歩は、
たしかにあなたの心が選んだ道だった。
震える指先で触れた未来は
思っていた形とは違っても、
あの日の勇気だけは
誰にも否定できない。
たとえ間違いだったとしても、
あなたが見つめた光は
たしかにそこにあった。
その光を信じた時間は、
嘘ではなかった。
傷ついた足跡の上に
静かに朝が降りてくる。
「それでも進んだね」と
誰よりも先に
あなた自身が気づいている。
たとえ間違いだったとしても、
選んだことは
あなたを少しだけ強くした。
そしてその強さは、
次の正しさを
そっと迎えに行く。
眞白あげは
雫
ひと粒の雫が
葉の先で震えている
まだ落ちることをためらうように
世界の気配をそっと聴きながら
光を抱きしめたまま
小さな宇宙をつくって
静かに息をしている
やがて
風がそっと背中を押すと
雫は音もなく落ちていく
その一瞬だけ
世界は透きとおり
誰にも触れられない
真実のように輝いた
落ちて消えても
雫が見ていた景色は
どこかでまだ
ひっそりと生きている
眞白あげは
何もいらない
何もいらない
そう思えた夜があった
手に入れることより
手放すほうが
ずっと自由に近いと知ったから
光も
約束も
優しい言葉さえ
今の私には重すぎて
そっと机の上に置いてきた
何もいらない
そう呟くたびに
胸の奥で
小さな音がする
まだ生きている証のように
欲しがらないことで
失うものもあるけれど
守れる静けさもある
それを私は選んだだけ
何もいらない
そう言える今が
ほんの少しだけ
誇らしくて
ほんの少しだけ
寂しい
もしも未来を見れるなら
もしも未来が見えるなら
きっと私は
今日より少しだけ
静かに息をしているだろう
悲しみの行き先も
喜びの形も
あらかじめ知ってしまえば
心は軽くなるのか
それとも重くなるのか
けれど
たとえ見えたとしても
私はきっと
今と同じように
小さな光を探すだろう
未来がどんな色でも
歩くのは今日の私で
選ぶのはこの手だから
もしも未来が見えるなら
その景色よりも
そこへ向かう途中の
一歩一歩を
大切にしたいと思う
たとえ答えが
遠くに霞んでいても
今の鼓動だけは
確かにここにあるから
眞白あげは
無色の世界
色のない世界で
風だけがそっと、
まだ名もない朝を撫でていく。
白でも黒でもなく、
ただ “在る” というだけの景色は、
心の奥の静けさに
よく似ていた。
誰も気づかないまま
落ちていく影の気配、
触れれば消えてしまう
淡い輪郭。
それでも、
無色の世界は空虚ではなく、
言葉になる前の想いが
静かに息をしている場所だった。
色を持たない光が
そっと胸に触れたとき、
ようやく気づく。
——本当の色は、
世界ではなく、
自分の中に宿っていたのだと。
眞白あげは