愛と平和
愛は 声を持たない
けれど 触れた人の心に
そっと灯りをともす。
争いの影を 静かに溶かす
小さな火だ。
平和は 風のように
誰のものでもなく
誰のそばにも寄り添う。
怒りの跡をなでて
もう大丈夫だよと囁く。
愛があるところに
平和は根を下ろし
平和があるところに
愛は花を咲かせる。
世界はまだ
その花の咲かせ方を
探している途中だけれど
私たちの胸の奥では
もう芽吹き始めている。
どうか
その小さな芽を
踏みにじらず
育てていけますように。
眞白あげは
過ぎ去った日々
振り返れば
あの日々は 指のあいだから
こぼれ落ちた光の粒のように
静かに どこかへ消えていった。
笑い声も 涙の跡も
いま触れれば たちまちほどける
薄いフィルムのようで
けれど確かに 胸の奥で息をしている。
もう戻らないことを
とっくに知っていたはずなのに
ふとした風の匂いに
名前を呼ばれた気がして立ち止まる。
過ぎ去った日々よ
どうかそのまま そこにいてほしい。
触れられない距離で
それでも私を照らし続ける
小さな灯りのように。
眞白あげは
お金より大事なもの
財布の中には 数えられるものしか入らないけれど
胸の奥には 数えられないものが息をしている。
たとえば
誰かの名前を呼ぶときの あのやわらかい声の温度
夜更けにふと届く 「大丈夫?」のひと言
春の風が 頬に触れていく一瞬のやさしさ。
お金では買えないものは
いつも静かで、控えめで、
けれど なくしてしまえば
世界の色がひとつ消えてしまう。
だから私は
手のひらに残るぬくもりや
心に灯る小さな光を
そっと抱きしめて生きていく。
価値とは
値段ではなく
その瞬間が 誰かの心を動かすかどうかで決まるのだと
ようやく気づいたから。
眞白あげは
月夜
ひっそりと
夜の縁(ふち)に腰かけて
月は ひとりごとのように光っている
風は 名前を持たず
ただ やわらかく世界を撫でてゆき
影たちは その指先にくすぐられ
ゆらり ゆらりと揺れながら
眠りそこねた心を映している
遠くで
犬の声がひとつ
夜の深さを測るように響き
その余韻の中で
私は 胸の奥の静かな湖に
そっと石を落とす
波紋は
誰にも見えないまま広がり
やがて 月の光と混ざり合って
ひとつの祈りになる
――どうか
明日の私が
今日より少しだけ
やさしくありますように
眞白あげは
絆
絆とは
声にしなくても伝わる
あたたかな糸のようなもの。
離れていても
触れられなくても
ふとした瞬間に
胸の奥でそっと結び直される。
強く引けば切れてしまうけれど
ゆるやかに寄り添えば
どこまでも続いていく。
涙の夜にも
笑った朝にも
その糸は静かに揺れて
私たちをつないでいる。
絆とは
約束ではなく
義務でもなく
ただ「あなたがいる」という
確かな気配のこと。
そして今日も
見えないその糸が
私をそっと支えている。
眞白あげは