十目 一八

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3/10/2026, 12:50:41 PM

お題『愛と平和』

祖父は私の憧れの人だ
尊敬する人でもある
そんな自慢の祖父の話をしてみよう

怒涛の時代に兄を2人亡くし
1つ上の兄が問題無く家を継げるように
遺産を放棄して上京した
就職先は消防士だった
ツテも無かったから寮があって
身一つで出来る仕事を選んだと言っていたけれど
火災現場で事故にあい
片足に治らない傷を抱えた後も
命を懸けて人を救い
過酷なリハビリを乗り越えて現場に戻った
そんな祖父の事を私は誇りに思う

兄を亡くした影響か
命の狭間にあった仕事の影響か
祖父は家族をとても大切にする人だった
時間を見つけては私たちと遊び
私たちが大好きな祖父の故郷の料理をつくり
本を読み聞かせ
いろんな所に連れて行ってくれた

子供のころの私はまるで濁流に飲まれてるような
そんな毎日だったけれど
祖父の傍で祖父の家にいる時は
バリアの中にいるような
絶対の安全と安心を噛み締めて
年相応の子供になれた

私が大人になって障害が見つかり
不安で心細くて震えてたときも
祖父だけが励ましてくれて
ずっと傍にいてくれたから乗り越えられた

祖父の最期の言葉は
「愛してる」だった
祖母の母の妹の
そして私の手を強く握って
永遠の眠りについた

…堅苦しく書いてみたけれど
これが私の大好きなおじいちゃんなんですよ
凄くない?
凄すぎじゃない?
人ひとりの平和と愛のある人生を守るってそう出来るもんじゃない
しかも、おじいちゃんは仕事でも人を救ってる
表彰状の数がハンパじゃない

私もおじいちゃんみたいになるんだと小さい頃から豪語してきたけれど
これがなかなか難しいんだわ
私は自分の小さな家庭の平和を守るのが精一杯で
でも、家族への愛情はおじいちゃんにも負けないと思うんよ
それだけはおじいちゃんにも誇れるかな

そんな、小さな平和がどんどん増えて
大きな世界に愛が溢れたら良いのにね

3/9/2026, 12:06:22 PM

お題『過ぎ去った日々』

明日は久しぶりに君に会える
1年ぶりくらいかな?

君と出会ったのは学生寮の入寮パーティーだったよね
専門学校に行ったは良いけど
家の都合で寮にいれられたから
私は少し不貞腐れてたんだ
でも、君がわざわざ部屋まで連絡先を聞きに来てくれて
趣味も好きな物も見た目も違う私たちなのに
あっという間に仲良くなって

寝る時以外は私の部屋に入り浸ってたから
2人で1セットで数えられて
どっちかがいない時は寮母さんが
「片方どこいった?」って探してたよね

バイトも一緒のところにしたから
やっぱり1セット扱いで
君のシフトを私に聞かれるって良くあったから
お互いの出勤日はバッチリ覚えてたね

私たちも子供の頃から一緒にいる気がして
思い出話語っては「あれ?その時一緒に居ないじゃん!」
って思い出こんがらがっちゃって
あんな不思議なことは君以外では起きたことないよ

あ、あとマカロンが流行ったときに
君が凄くハマってさ
なら作って見ようってなったけど
なかなか綺麗に出来なくて
でも、凄く美味しかったよね

ポロリポロリと過ぎ去った日々に思いを馳せて
そんな時にスマホが鳴って
「ごめん!!子供が熱出ちゃった!」
ってキミの声
「このまま、永遠に会えなかったらどうしよう…」
寂しがり屋なのも昔から
お子さんも熱はあるけど体調は元気なようで良かったよ
前回は私が風邪をひいてしまったし
なかなか会えないものだなぁ
そうだ、お子さんの具合が治ったら
家まで会いに行こうかな
確かに少し遠いけどお子さんたちにも会いたいし
不格好なマカロン持って

会えない日々もおばあちゃんになったらさ
懐かしいねって思うのかな
その時にそれでも一緒に居られて良かったと
思えるような
そんな2人でいたいよね

3/8/2026, 1:44:21 PM

お題『お金より大事なもの』

キミの寝顔を見るとふと思う

結婚する前、キミは飲食チェーンで働いていて
まあまあお給料は良かったけど
なかなか家に帰れなくて
寝る時間が1時間くらいしかない時もあって
キミの顔色がどんどん悪くなって
私は心配で仕方なかったよ

キミの仕事はどんどん増えて
私は転職してって頼んだけれど
キミは私に不自由させたくないって
言い合いにもなったよね

結局、キミは転職してくれて
結婚して今の場所に越してきて
家賃重視で選んだから
交通の便はイマイチだけど
毎週土曜日にバスに乗って
2人で買い物に行く時間が
デートみたいで楽しみなんだ

週に1回、節約も兼ねて鍋の日にして
鍋はもともと好きだけど
今週はどの野菜を入れようか
〆は何にしよう?
今度はこの鍋作ろうか
そんな話で盛り上がれるから
前よりずっと好きになったよ

夜は可愛いペットを撫でながら
小説読んだり、ゲームしたり
ダラダラのんびり話したりの幸せタイム
この時間がたまらなく好きで
私の1番の宝物

夜型の私はキミより遅くまで起きてるから
キミの寝息を聞きながら安心して眠りに落ちる

あの時に私との『今』を選んでくれて
本当にありがとう

3/7/2026, 12:00:30 PM

お題『月夜』

子供の頃から月が嫌いだった
ただでさえ夜は真っ暗で怖いのに
三日月は片目の空が睨んでるようだし
満月なんて大きくて空から落ちてきて
お家を潰しちゃうってよく泣いてたっけ

怖がりの私が5歳になった時に
妹が産まれた
ふにゃふにゃしてて
暖かくて可愛くて
お姉ちゃんが面倒みる!って
オムツもミルクも一人でやろうとして
お母さんを困らせてた

幼い妹は身体が弱くて
よく熱をだしては寝込んでて
私は妹が消えてしまったらどうしようって
不安で心配で怖くてメソメソしてばかりだった

妹が小学生低学年になった時
『十五夜にお月様を見てみよう』って宿題が出た時も
妹は熱を出していて
お布団からじゃ月が見えないって
しょんぼりと窓を見てたものだから

黄色い画像紙でっかい丸に切って
うさぎをたくさん書いたのを
窓の外から貼っつけて
「今日は満月だよ!」って指さしたけど
妹は「そんなの月じゃない!」って泣いちゃって
私は月なんて嫌いだって
十五夜に八つ当たりして

大人になって私は家を出て
夜道も一人で歩けるし
妹は丈夫になったけれど
月はやっぱり好きじゃなくて

でも、いつだったかな?
確か皆既月食か何かのニュースの時に
「お姉ちゃん、満月作ってくれたよね?
まん丸じゃ無かったし
私も具合悪かったから思わず嫌って言っちゃったけど
本当はね、凄く嬉しかった」
って照れた様子でニコニコ笑ってくれたから
その日見た月夜はすっごく綺麗に映ったんだ

そんな妹も2児の母になって
毎日、忙しく元気にしてるけど
夜空に光る私の勲章になった月をみてると思う
悲しい時も、困った時も
いつでも助けに行くからね
幾つになっても
貴女は私の大切な妹なんだから

3/6/2026, 11:47:42 AM

お題『絆』

拝啓 親友へ。

元気にしてるかな?
最近、なかなか会えてないよね

せっかく手紙を書くのだから
ずっと思ってた事を書いてみるね
実を言うとさ、君の私への態度が
少し雑じゃない?って思う時があるんだ

飲み会のあとで公園いったこと覚えてるかな?
背中合わせに座ってさ
終電まで他愛もないこと話して、笑って
そんな時、ふいに君が立ち上がって伸びをしたよね
私は見事に後ろに倒れちゃって
それ見た君が爆笑して、つられて私も転がったまま笑いが止まらなくなったよね

あとさ、美術館行ったのは忘れてないよね?
初めて行った場所だったから迷っちゃって
しかも、雨まで降ってきたから
私が折りたたみ傘渡してさ
行き方を調べてる最中に君が傘持って
すーっと歩いて行っちゃって
私は雨に濡れたよね
やっと美術館着いたら、私のメガネより何故か君のメガネのが濡れてて
「傘さしてたじゃん!」ってお腹痛くなるまで笑ったよね

不思議だよね
他にもたくさんあるんだけど
雑じゃない?って時って必ず楽しかった思い出があるんだよ

それにね
私が事故に遭った時
1番に飛んできてずっと側に居てくれて
リハビリにも丁寧に付き合ってくれたよね
あの時は本当にありがとう
感謝してもしきれないよ

本当はさ、気づいてるんだ

『雑』な時って気を許して甘えてくれてる時だって
他の人には凄く気遣いしてたものね
そんなことに気づいてから
君が『雑』な事が少し嬉しいって思うんだ

そうだ、そろそろお花見の季節だね
あの公園にまた、行ってみない?
私たちはもう大人だから
背中合わせはこそばゆいけど
隣り合わせでのんびりと
桜見ながら思い出話に花咲かせて
あー、なんだか凄く会いたいよ

忙しい毎日だけど、おかげさまで元気してるよ
まだ、寒いから気をつけて

君の幸せと手紙の返事を願って
敬具

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