十目 一八

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お題『月夜』

子供の頃から月が嫌いだった
ただでさえ夜は真っ暗で怖いのに
三日月は片目の空が睨んでるようだし
満月なんて大きくて空から落ちてきて
お家を潰しちゃうってよく泣いてたっけ

怖がりの私が5歳になった時に
妹が産まれた
ふにゃふにゃしてて
暖かくて可愛くて
お姉ちゃんが面倒みる!って
オムツもミルクも一人でやろうとして
お母さんを困らせてた

幼い妹は身体が弱くて
よく熱をだしては寝込んでて
私は妹が消えてしまったらどうしようって
不安で心配で怖くてメソメソしてばかりだった

妹が小学生低学年になった時
『十五夜にお月様を見てみよう』って宿題が出た時も
妹は熱を出していて
お布団からじゃ月が見えないって
しょんぼりと窓を見てたものだから

黄色い画像紙でっかい丸に切って
うさぎをたくさん書いたのを
窓の外から貼っつけて
「今日は満月だよ!」って指さしたけど
妹は「そんなの月じゃない!」って泣いちゃって
私は月なんて嫌いだって
十五夜に八つ当たりして

大人になって私は家を出て
夜道も一人で歩けるし
妹は丈夫になったけれど
月はやっぱり好きじゃなくて

でも、いつだったかな?
確か皆既月食か何かのニュースの時に
「お姉ちゃん、満月作ってくれたよね?
まん丸じゃ無かったし
私も具合悪かったから思わず嫌って言っちゃったけど
本当は凄く嬉しかった」
って照れた様子でニコニコ笑ってくれたから
その日見た月夜はすっごく綺麗に映ったんだ

そんな妹も2児の母になって
毎日、忙しく元気にしてるけど
夜空に光る私の勲章になった月をみてると思う
悲しかったり困ったりしたら
いつでも助けに行くからね
幾つになっても貴女は私の大切な妹なんだから

3/7/2026, 12:00:30 PM