ココロオドル
夜の公園で、回ってステップを踏んで、
くるくる回って跳んで跳んで跳んで飛んで、
飛んで空まで行けたらどれだけ嬉しいだろう
「先輩」
勢いよく振り向いた反動で靡いたポニーテールが、僕の頰をぺしっと叩いた。
「どうした?」
「好きです」
「知ってる」
「君も知ってるでしょ?私は君のことは好きにならないの」
分かってますよ。と呟いた。聞こえてたかは知らない。
「その完璧な先輩の先輩は、そんなにかっこいいんですか」
「かっこいいよ」
じゃあまだ不完全な僕のことは好きにならないんだね
「好きです」
「うん」
「もう終わりにしようかな」
「ん?」
「好きになってくれないんでしょ?」
あぁ泣きたくなんてなかったのに。
自転車に乗ってあの街まで
遅刻魔だった俺が早く学校に行くようになった。
それだけで周りは騒いだけれど、3日も経てば収まった。人は人のことにあまり興味なんてない。
朝7:30。
学校の正門にまであの音は届いている。
一度も話したことのない彼女のトランペットの音は、明るくてどこか寂しげだった。
ハトと少年。
あのジブリの名曲が毎日毎日聴こえてくる。
明日は音楽室まで行ってみようか。
彼女と喋ってみたいと思った。
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遅刻魔だったクラスメイトが学校に早く来るようになった。
毎日毎日ギリギリに来てセーフだアウトだと騒ぐ姿は見慣れていて、それがなくなっただけで周りは皆理由を知りたがった。
早く来るようになったことを知って、わざと窓を開けてトランペットを吹くようになった。
自分でも分からない。
ただ気づいてほしかったのかもしれない。
私のことを知ってほしいと思った。
「君の奏でる音楽」
海。
麦わら帽子。
風。
白いワンピース。
カメラを構える、僕。
「やっぱり主演女優はオーラが違うね」
「何言ってんの」
そうやって笑うあなたは、どうして、僕の隣に、
「まぁずっと一緒だし。楽だし。」
ねぇ。戻ってきてよ。
なんでいなくなったの。
_____速報です。女優の木南雪さんが死亡しました。死因は_____