あいつは天才だから、天才は考え方が違うから、頭の出来が違うから、私たちとは違うから、気にしないでいいんだよって
繊細な人は普通の人よりも疲れるから、感受性が豊かだから、優しいから、そんなに頑張りすぎなくたっていいんだよって
あなたは普通で少し弱いだけなんだからって
そうやって私を縛り付けて、
そうやって「私が」私を縛り付けて、
それって逃げてるだけだと思って
でも逃げないとやっていけない時もあって
ただの言い訳に過ぎなくて、馬鹿らしくて、こんなことしてる場合じゃなくって
でも、でもさ、
上手くいかなくったっていい。やるだけやって後悔なくこの高校生活を終わりたいと思うばかりなのです。
受験生を、存分に。
多分、最初から決まってた。
大切な人を失うことも、裏切られることも。
「分かってたよ。あんたなんだろ。」
ゆっくりと振り向く顔に感情がないことが怖くて、何も言えなくて、
こうなることも多分、最初から決まってて。
「その包丁で刺したのか。何度も。」
その顔に感情が戻った時、俺は尋常じゃない恐怖を感じた。
「ふふふ。ざまぁみろよ。」
「全部全部全部お前のせいなんだよ。お前のせいで彼女は死んだんだ。」
「気分は、どう?」
分かってた。分かってたのに。助けられなかった。
「私が死ぬ時はあなたのせいじゃないのよ」
「全部全部私のせいなの」
太陽がじりじりと熱い。
いつもに増して爽やかな彼をバス停まで送り出したのはうざったい暑さが続く8月のことだったと思う。
今思えばあの時も辛い思いを抱えて、無理して笑顔を作っていたのだろうか。
ちょうどあの時くらいからサークルに来なくなって、あんまり会わなくなったなと思ったりして、あぁそういやあれが最後かとか思い出したりもしていたけど。
2ヶ月ぶり?だよね。
彼は今でも爽やかなまま、痩せた彼はまだここにいたのに。
もっと早く来たら良かったね。ごめんね。
ううん、今日来てくれたじゃん。サークル内で一番なんだよ。嬉しいわ。
皆来ないもんねーと笑った貴方の目が輝いていて。それが涙だと分かったときには遅かった。
あぁどうして貴方はそんなにも完璧で、だからこそ寂しい思いをさせてしまっていたのだろうか。
綺麗な横顔に涙が落ちた時、私は何か力になれるのだろうか。
私の名前。
誰かが呼んでいた。