NoName

Open App
6/19/2023, 3:39:54 AM

『落下』

ちょっとした浮遊感の後に襲い掛かる重力
大地に引き寄せられるように落ちて行く

時間にして僅か数十秒
体感時間はどうだろう、長いようで短いような
生まれ落ち、ここまでの日々が思い出される

確かに悪いことだけではなかったかもしれない
でも決して良いことばかりだった訳では無い
トータルで考えればやはり悪いことの方が
圧倒的に多かったようにも思う

まぁ、そんな葛藤ももう終わりだ

全身を駆け抜ける途方もなく強い衝撃と誰かの悲鳴
世界が暗転していき、そして再び日の目を見ることは叶わなかった

6/14/2023, 10:09:39 PM

『あいまいな空』

空は時に心象風景の例として用いられる事がある
移り行く天気を感情に見立て、流れ行く様は
確かに人の心に通じている

そして、今の空は鈍色の雲が覆うあいまいな天気模様を見せている
下らない事に悩み、どうにだってなる事を抱え込み、
そんな事すら一人で解決出来ない事に酷く落ち込んで
負のスパイラルに沈む

いつかこの空が晴れる日が来るだろうか、
それとも土砂降りの雨となり、
一切合切を洗い流してしまうのだろうか、

その答えは私には分からない

6/12/2023, 1:23:53 PM

『好き嫌い』

好きだと思うのは興味をそそられるから
嫌いだと感じるのは関心があるから

相反する感情と同調する意識
異なるベクトルへ向いた心情

いっその事、何も感じなくなれば良い
そうすれば何も考えなくて済むから

そんな有り得もし無い妄想に嫌気が差す
だが、チープで都合の良い夢物語を好む自分が居る
つくづく難儀な性格だと自らを嗤い、
暗い部屋の中で静かに目蓋を閉じた

6/3/2023, 2:35:25 PM

『失恋』

ボクにとっての恋はアイデンティティーの確立だ

君の好きなボクでなければ、君はボクを選ばないと思ったから
趣味も、容姿も、普段の言葉使いや振る舞い、
その全てを君の好きなボクで居られるようにした

所詮は無価値なボクのアイデンティティー
君の為ならどう変わろうとも惜しくは無い

そうして、取っ替え引っ替えしたまま
やがてボクはボク自身を見失っていた
否、元々そんなものは無かったのかも知れない

今日もまだ彷徨うボクが探しているのは
果たして『恋人』か『自分』か

6/1/2023, 1:12:11 AM

『天気の話なんてどうだっていいんだ、僕が話したいことは、』

君と僕とは文字通り、住む世界が場所が違った

君の日常は僕には想像もつかない程に絢爛豪華で、
僕の日常は君が考えもつかない程に質素で惨めだ

手を伸ばせば届きそうなこの距離は、
どうしようも無い程に遠い

僕達の世界はあまりにも掛け離れているが、
唯一空の機嫌だけは分かち合える

話したいことは沢山あるが、それら全てを飲み込んで
僕はまた話したくも無い天気について話す事にした

Next