『言葉にできない』
頭に連ねる空想と心を震わせる心情、
確かにそこにある景色はいざ言葉にしようとすると、
まるで靄が掛かったように朧気になる
そこにあるはずなのに、ここにあるはずなのに、
どれ程の努力を重ねても理想には決して届かない
筆を取り、書いて、書いて、書いて、書いて、
あの時描いた幻想を、あの時感じた感動を
この頁に書き記すことが出来る日が来るまで
言葉にできないものを追い続けている
『幸せに』
どうせなるのならば不幸よりは幸せに
そうは思っていても、どうにもならないのが世の常であって
ただ奴隷の如く休み無く働き、働くために生きているのか
生きるために働いているのか、その区別すらつかないことは
幸せであるはずもなく
かといって何もせず、何も得ず、何者にもなれぬまま
社会の歯車としてすら機能することなく
怠惰に無意味に時間と資源を喰い潰すことが
幸せであるはずもない
もとより幸せというのは個人の感覚であり、
誰かの幸せが必ずしも自身の幸せとイコールであることも無い
そんな曖昧な概念に振り回されていることにすら気付けない
存在し得ぬ幸せを求める内は決して幸せにはなれない
『夢が醒める前に』
この世界は出来の良い悪夢だと思うようにしている
何をしたって周りのように上手くはいかないし、
どれだけ頑張ってもこの虚無感は満たされる事はない
永劫に続くこの苦しみから逃れた先、
果て無く纏わりつく辛さから解放された時、
私は初めて本当の私になれるはずなんだ
自分を奮い立たせるように、そう言い聞かせて、
今日もただ静かにこの世界が終わるその時をひたすらに待つ
『お金より大事なもの』
お金より大事なものがある、なんてよく言うけれど、
それは全て詭弁だ
世の中は全てお金で回っている
衣食住、生活に必要な最低限のものすらお金が無ければ
得る事すら出来ないのだ
本当に欲しいものは大抵お金があれば手に入るし、
権力も、地位も、お金を中心に集まってくる
どれだけ綺麗事を並べ立てたところで、この真理は覆らない
偽善者の言う「愛」やら「慈しみの心」とやらで世界が変わるなら
とっくの昔に世界は平和であるはずだ
けれど、決してそうではない
世界はお金という欲望に振り回され続けている
この世界で生き残る事を選ぶならば、
お金より大事なもの、なんでありはしない
『欲望』
それは人が人たる所以
誰かを騙し、時には守るべき者すら蹴落とし、己の糧とする
全てはただ「誰かよりも優れていたい」という果て無き欲望のため
下らない姑息な願いは何処までも人を残酷に変えてしまう
いつしか人は欲望に飲み込まれ、それが己の意志かも分からぬまま
欲にまみれた願いとも呼べぬ傲慢なる望みを叶えるべく
深く深く、外道へと堕ちてゆく