死と生は向かい合わせで
死はみんなに平等に等しく訪れる
だからこそ、向かい合わせの死が来るまで、
生と共にある僕らはこの世界を生きる。
どんなに死にたくても、明日が見たくなくても
生きる、生きる、生きる、
背一杯、生きる
たとえ笑えなくても、どんなに苦しくても、
生きなければ、いけない。
生きて、生きて、生きて
自分の限りある時間、全力で駆け抜ける。
何言ってんだって思うかもしれないけど、
兎も角、僕は、たしかに顔を見たこともないけれど、
それでもあなたにこの矛盾した言葉を伝えたい。
僕だって、明日が見たくないときがある。
死にたいと思う日も、苦しくて仕方ない日もある。
でも、それでも、心臓は止まらなくて、
死にたいのに、生きなきゃいけないくて、
でも、死ぬのは怖くて、痛くて、
でも生きたくて、でも死にたくて、
大きな矛盾を抱えて、それについて考えて、考えて
この感情はなんだろうと考えながら僕は生きる。
いつか来る終わりである死と向かい合わせで生きる。
だから、結局言いたいのは、ただ一つ
どうか生きててください。
死が、顔を見たこともないあなたに訪れるまで、
どうか生きててください、死なないでください。
自分で自分の心臓にピリオドを撃たないで下さい。
僕が言いたいことは、それだけです。
ごめんね、ごめんね
ごめんなさい。
助けられなくてごめんね。
わがまま言ってごめんね。
未完成な自分が愛してごめんなさい。
死なせてしまって、ごめんなさい。
本当は守りたかった、自分がこの未来を守りたかった。
全てを乗り越えて、ハッピーエンドを贈りたかった。
あの場所が好きだった。
大切だったから取り戻したかった。
何がなんでも取り戻したかった。
でもそのせいで、君は死んだ。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。
ごめんね、ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんね。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんね、
どうか、どうか、どうか、どうか、
赦して、どうか自分を赦して、赦せなくても
赦したくなくても、どうか
きみをしなせてしまったこととあいしてしまったことを
ゆるして、
『つぎこそは、きみをしなせない。きみをまもるよ』
今度こそ君を守るために、
今度は、自分は、天使にも悪魔にもなる
そう思いながら、言葉は崩壊と死と静寂に包まれ、消えた。
贖罪とやるせない思いを抱えながら、
自分の意識は途切れた。
今日も淡い潮風が吹いている
それを感じて
アナタはもういないのに
世界はちゃんと動いているんだなぁって思う
海面は穏やかだけど
自分の心は穏やかじゃない
だって、隣にいたはずのアナタがいないから
アナタの好きな青い青い海をみる
知らぬ間に涙が溢れ、嗚咽が漏れる
砂浜に膝をつきながら
“何で、アナタは自分を庇ったんだ”
そう、海へ向かって、祈るように懺悔するように呟く
答えはもちろんない、
だってアナタはもう消えてしまったから、
それでも、やっぱり、そう聞いてしまう
アナタの好きな海に向かって
海へ、自分はそう問いかける
海へ
桜の木の下で寝っ転がっていると
「ねぇ、ウチのこと好き?」
唐突にオレの顔を覗き込み
そう聞いてきたお前に
少し起き上がって、そっと優しいキスを贈る。
すると、お前は少しムスッとして
「ねぇ聞いとるんやけど、首振るかなんかはしてよ」
それに対してオレはこう思った
『仕方ないだろ?
オレは口がきけないし
それに…素直じゃあない』
だから
こうした捻くれた裏返しの愛情しか表現できない。
お前はそんなオレでも好いてくれるか?
桜の木の下に、恋人が寝転がっていたから
なんとなく、
『ねぇ、ウチのこと好き?』
と聞いてみたら、口がきけない彼は、
一瞬驚いた顔をすると少し起き上がって、
その言葉の代わりにキスを優しく贈ってきた。
それが凄く嬉しかったんやけど、
何となく意地悪したかったから
『ねぇ聞いてるんやけど、首振るかなんかはしてよ』
そう言うと、彼は顔を顰め、何か言いたげな雰囲気を出す
それをみて、微笑みながら、ウチは彼の横に寝転がる。
きっと「オレは口がきけないし、それに…素直じゃあない」
とでも思ってるんやろう。
別に、大丈夫やで?
あんなことを言うたけど、アンタが喋れなくても
ウチは、アンタが言いたいことはわかるよ
アンタのその少し捻くれた裏返しの愛情が理解できるよ?
ウチはアンタのこと大好きやで?
だから心配しないでね?
ある晴れた日の午後
満開の桜の木の下に
口のきけない少年と
天真爛漫な少女が片手を絡ませながら昼寝をしていた。
2人は雰囲気からおそらく恋人同士で
とても仲睦まじい様子で、スウスウと眠っていた。
きっと、2人共、同じ夢をみてるんだろうなぁ
今は放課後
場所は数人のクラスメートが残った教室
ふと、アタシは目の前で本を読む彼を、
幼馴染でずっと片想いをしてる彼の顔を見つめる。
幼い頃から見てきた、その中性的な美しい顔を
いつ見ても、寂しげな、でも優しいその微笑みを見つめた。
アタシはたまに思う。
彼ははもしかしたら、鳥か天使なのかもと、
だってそう思うぐらい、綺麗な顔をしてるし
性格も、たぶんクラスの男子の中じゃ1番優しい
でも、そう言うたびに、彼ははいっつも……
「酷いなぁ、ボクは人間だよ?」
すると、ちょうど、頭の中で思っていたことを
まさかのご本人が本から顔を上げずにそう言った。
比喩だと彼も(たぶん)分かっているくせに、
いつも生真面目にこう言うのだ。
「カンだけど、絶対そう思ってるだろ?」
「…恐るべし、アンタの、その妙に鋭いカン」
個人的には授業中にこそ、その生真面目さを出してほしい
心の中でぼんやりとそう思っていながら、笑うと
彼はいつもは、仕方ないと言って、笑うのに
今日は真面目な顔で本から目を離しこっちを見て、こう言った
「あのね、キミはボクの事、たまに鳥とか天使って言うけど
ボクにとっちゃあ、キミのほうが鳥だよ?
だって、キミはボクの可愛いくてカッコいい小鳥さんだよ?」
その言葉にアタシは驚き、
次の瞬間、頬が真っ赤になるのを感じる
一方の彼は涼しげな様子で本に目を落とし、顔を逸らす
だから、アタシは知らなかったし、気づかなかった。
彼も知れせる気はなかった。
彼は、アタシと同じぐらい顔を真っ赤にしながら、
ぼそっと誰にも聞こえない声で
告白に近い言葉を言ったことを
「…だから、たとえ、キミが鳥のように何処かに羽ばたいても
ボクが必ず捕まえに行くから、覚悟してね、ハニー?」