ニコ

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今は放課後

場所は数人のクラスメートが残った教室

ふと、アタシは目の前で本を読む彼を、
幼馴染でずっと片想いをしてる彼の顔を見つめる。

幼い頃から見てきた、その中性的な美しい顔を
いつ見ても、寂しげな、でも優しいその微笑みを見つめた。

アタシはたまに思う。

彼ははもしかしたら、鳥か天使なのかもと、
だってそう思うぐらい、綺麗な顔をしてるし
性格も、たぶんクラスの男子の中じゃ1番優しい
でも、そう言うたびに、彼ははいっつも……

「酷いなぁ、ボクは人間だよ?」

すると、ちょうど、頭の中で思っていたことを
まさかのご本人が本から顔を上げずにそう言った。
比喩だと彼も(たぶん)分かっているくせに、
いつも生真面目にこう言うのだ。

「カンだけど、絶対そう思ってるだろ?」

「…恐るべし、アンタの、その妙に鋭いカン」

個人的には授業中にこそ、その生真面目さを出してほしい
心の中でぼんやりとそう思っていながら、笑うと
彼はいつもは、仕方ないと言って、笑うのに
今日は真面目な顔で本から目を離しこっちを見て、こう言った


「あのね、キミはボクの事、たまに鳥とか天使って言うけど
ボクにとっちゃあ、キミのほうが鳥だよ?
だって、キミはボクの可愛いくてカッコいい小鳥さんだよ?」

その言葉にアタシは驚き、
次の瞬間、頬が真っ赤になるのを感じる
一方の彼は涼しげな様子で本に目を落とし、顔を逸らす

だから、アタシは知らなかったし、気づかなかった。
彼も知れせる気はなかった。

彼は、アタシと同じぐらい顔を真っ赤にしながら、
ぼそっと誰にも聞こえない声で
告白に近い言葉を言ったことを

「…だから、たとえ、キミが鳥のように何処かに羽ばたいても
ボクが必ず捕まえに行くから、覚悟してね、ハニー?」

8/21/2024, 10:57:26 AM