〘もしもタイムマシンがあったなら〙
人類最後の日を観にゆく。
〘終わりにしよう〙
『………う、もう…き………ない』
出会い頭に彼女から"バチンッ"と一発。その後、キーンと世界が遠ざかった。
〘友だちの思い出〙
" Aとの付き合いを語るならそれは中学生の頃までに遡る。偶然に同じ部活で、偶然に余ったもの同士で、よく体調を崩してコミュニケーションを取りづらくなる彼女に私が同情心で付き合ってあげたのが始まりだった。
「Aはさ、高校どこ行くの?」
「O高校かな、あそこの射撃部気になるんだよね。」
何回この中身のない会話を繰り返したろう。当時、私は彼女にさほど興味を持てず、適当に話を流していた。私たちの間には創作という共通の趣味があったけれど、彼女はあまり開けた人とは言えなかったので、何も言わなかった。部活間限りのなんとも言えない他人としての沈黙が私たちを覆っていた。
〘繊細な花〙
「花ってさ、脆いよね。」
綿毛を吹きながら独り言のよう言う。吹き先揃わぬまま、彼らは飛んでいった。
「けどさ、雑草は強いじゃん。抜いても抜いても気がついたらいて、図太いっていうか...だから....」
もう一人が冠を編みながら、考える素振りをしてシロツメを摘んだ。
「つまり、花も雑草も変わんないってこと?」
3人目が食べながら口を挟んだ、手は砂糖でベタベタ。どう作ったらそうなるのだか。
「まぁ、多分。綿毛だって存続の手段だから心臓に毛が生えてるレベル。かといって茎とか供給源絶ったらあとは持ち主次第だから、環境破壊されて終わるって意味で儚いってのも的を射てるよね。」
「「分かる〜。」」
何がウケたのかは理解しがたいが、3人は感情を共有し「そういうとこがかわいいんだけどね〜」と言いながら今度はドライフラワーを作り始めた。
〘誰にも言えない秘密〙
実は神様を信じている、なんて人に知れたら精神科にでも連れて行かれる。だから内に飼っているかみさまを秘した。幸い道具は何もいらないのでバレることはない。自分はそれを"透明性"と呼んで沐浴のたびに祈った。腕を胸前に手を組んで何も希わず、敬虔な信徒のように形だけをとれ、さすれば汝は救われる、と。