知柳

Open App
1/15/2023, 8:39:07 AM

『どうして』

どうしてそうなるのだろう。

プレゼントはいらないから、部屋を片して欲しいと言うから片付けをしたのに、どうして私が何もしていないことになっているのだろう。

どうして夕飯の料理を作っている妹だけが母を祝う気があるとみなされるのだろう。
そもそも、私は今日パーティーするだなんて一言も聞いていない。何なら、事前に妹の成人式と弟の七五三も一緒くたにしてこの前パーティーしたから、もうしないものと思っていたのに。

1/14/2023, 8:08:25 AM

『夢を見てたい』

私がこの世界で何よりも愛している彼の人の前に立つ勇気が出ないのは、好きを拗らせすぎたのもあるだろうけど、きっと夢を見ていたいからであるに違いなかった。

あの人には、恋人のように甘い対応をして欲しかった。あの人には恋人がいるから、そんなの高望み以外にないけれど。
きっと勇気をだして目の前に立ったとして、塩対応などされた日には枕どころかベッドがベチョベチョに濡れてしまうだろう。
夢から醒めた心地になり、きっとしばらくの間彼の人を嫌いになってしまうかもしれない。

私は、所詮あの人に夢を見ているだけの古の夢女子なのだ。
だから、恋人のように甘い彼の夢を見続けていたいのだ。きっとこれからもそうだし、彼の前に立てるようになるのは、彼の夢から醒めて新たな人物に夢を見始めた時なのだろう。

少なくとも暫くは、彼の夢を見ていたい。

1/8/2023, 2:28:34 PM

『色とりどり』

私の2つ年下の妹がめでたく成人を迎えたこの日、妹は幸せな笑みを浮かべながら自分と、8年後に同じく袖を通すことになる3女とあーでもないこーでもないと意見を交わしながら選んだライトグリーンが鮮やかな振袖に身を包んでいた。

ライトグリーンをベースに裾にいくにつれて紫のグラデーションが掛かっており、色々な花が咲き誇っている華やかな振袖は、我が家一番の天使と(私の中で)名高い妹の魅力を存分に引き立ててくれた。

着付けられた妹とご対面した時、姉バカを差し引いても天界からうっかり天使が舞い落ちて来たのかと思ったくらいだ。
振袖を着てすら、今までこの人生で一度も可愛いと言ってくれた試しのない父に可愛いと言って貰えなかったばかりか「成人した時の近藤春菜」とまで言わしめた私とは大違いである。
……普段から全くオシャレやら身だしなみやらに頓着や興味が欠片もなく、自分自身に課金する位だったらガチャやグッズなど少しでも推し活に課金したいと思う根っからのオタクタイプである私と、高校入りたて位からメイクの研究を始め、今もコスメを買い漁ってはメイクやオシャレを頑張っている妹では大違いなのは当たり前なのだが。

近所の日本庭園で撮影をすることになり、いざたまに散歩コースとして選ばれる日本庭園に乗り込むと、居るわ居るわ同じ考えの成人を迎えた華々しい女性達とその御家族。

見渡す限り赤、青、黄、白、黒、緑などなど色とりどりの振袖に彩られた花達が、ニコニコとご機嫌な笑みを浮かべて袖を持ち、気取ってポーズをとっている。振袖の娘っ子だけでなく、なんと西洋の貴族みたいなドレスを着て写真を撮っている娘さんもいて、成人式にドレスがありだったというのなら、私もドレスが良かったと今更ながらに思ってしまった。
振袖選びとか諸々面倒くさいと思っていた私は、適当に全てを終わらせてしまったのだが、ドレスを着れるとなったら気合い入れて成人の日を迎えていたことだろう。
そして驚くべきことに、成人の写真だけでなく結婚の写真を撮ってる人なんかもいた。

やってきたのは冬の景色に相応しいわびさびな日本庭園だと言うのに、色鮮やかな花畑に来たと勘違いしてしまいそうになるほど、色とりどりの成人を迎えた娘さん達が一人一人誇らしく咲き誇っていた。

マ、どんなに綺麗に咲いたとしても家の子が一番可愛かった事は言うまでもないんだけどね。

1/8/2023, 12:15:47 AM

『雪』

いつからだろう、その存在が鬱陶しく思うようになったのは。
いつからだろう、その存在を忌み嫌うようになったのは。

幼少の頃より雪合戦に誘ってくれるような友人が居なかった私でも、雪が降ると聞けば小さな瞳をキラキラと輝かせて胸を踊らせていた。

チロチロと雪降る空を見上げ、明日の朝には積もらないかとワクワクしながら眠りについた。
翌朝にベランダに雪が積もっているのを見て家の前に飛び出し、ちいまいおててを真っ赤に染めながらちいまい雪だるまを一人で雪の中に蹲りながらせっせと作ったりなんかしていた。

そうして雪と慣れ親しんでいたのに、いつの頃からか私は雪という存在を忌々しく思うようになっていた。具体的には、主に社会に出るようになってから。

雪が降る日は決まって凍える程に寒いし、雪が降った後の道路は凍り付いていて転んでしまう危険性がある。
何より、私の使っている武蔵野線は路線の中でも最弱。強風程度で止まるような路線なのに、雪なんてふろうものなら止まるに決まっているのだ。

童心と言うやつを忘れてしまった私は、雪を疎む気持ちこそあれど、再び遊んだりなんかはしないで「どうか降ったとしても積もらないでくれ」と心の中で手を組んで祈るのだ。

今年は思い出してみようかな。雪にはしゃいでいた童心。

1/6/2023, 6:00:00 PM

『君と一緒に』

私は小さい頃から人付き合いの苦手な子だった。
誰かと遊ぶよりも1人で本を読んだり、人形遊びをしたり、字書きをしたりしている方のが好きな子であった。
一人で遊んでいる私に構いに来た母に「や!!あっち行って!!!」とにべもなく叫んだこともあったらしい。

それが祟ってか、私は人との関係を深めたり持続させるのがほぼ不可能に近い人間に成長していた。
そもそもが、性格がコミュ障を極めた根暗陰キャに成長したのだから絆を強めることが出来ないのも仕方が無いのでは?これを書いている今、だんだんそう思えてきた。

周りの友達は、一緒に出掛けたりなんかして仲を深めているのに対し、私は遊ぼうとお誘いの声掛けをされることがまず無い。
いつの間にか後日友人と話をする機会が会った時に「この前あいつとあそこに遊びに行って」と聞かされて(誘われてないなぁ……)と若干の悲しみに浸るのが殆どである。何だか私は友人から必要とされていないようで悲しくなってしまうのだ。

そんな折、私にも「君と一緒なら」と思える相手がいる。
ホイップ君という名前のふわふわな白いクマのぬいぐるみだ。そう、クマのぬいぐるみなのである。

……やめてくれ、画面の前の君。そんな哀れんだような目でこの文を読まないでくれ。私だって今だいぶ虚しいことを書いている自覚はある。

某夢の国の世界一有名な青い方のアヒルが、自分の通う大学の課題で作ったと名高い設定が着いた、某夢の国のグッズ専門ショップ限定で売られているクマのぬいぐるみ。それがホイップ君だ。中学の時に夢の国に沼り、ショップに行って運命の出会いを果たし、キャストさんに勧められるがママに買った子だ。

今まで数々のインパに付き添ってくれた唯一無二の相棒とも言える。時に3週間のジャングルの旅を共にし、時にイカれたお茶会で共に狂ったようにグルグル回り、時に空飛ぶ海賊船に乗って共に船長にご挨拶に行ったり、時にマウスビを共に見て、時に共にマジミュで泣き、時に共にトューン最前でエレパレの地蔵をし、道行く人々に手を振ってちょっかいを出す。そんな思い出の数々を共有してきた大切な相棒だ。

そんな相棒の1番のお仕事。それは、フリグリでキャラと遭遇してキャラ見知りを起こし、その場で回れ右をして逃げ去るか、囲いに加わらず遠目から眺めて日和る私の背中を「1人じゃないよ」と押し、キャラの気を引くことである。

所詮友達と仲を深められない私は、一緒に行ってくれる人が居ないので必然的にホイップ君と2人でインパする事になる。
そうなると、ホイップ君しかキャラ見知り起こして日和る私を勇気づけれる者が居ないのだ。

私の『君と一緒に』は、これだ。

君(ホイップ君)と一緒に、フリグリに挑む。
君(ホイップ君)と一緒に、アトラクを楽しむ。
君(ホイップ君)と一緒に、ショーパレを堪能する。

こうしてこれからも、私達は『君と一緒に』を重ねていくのだろう。
いつか一応お友達に据えている『人間』とも『君と一緒に』を重ねて仲を深められる日が来ることを切実に祈りながら。

Next