知柳

Open App

『君と一緒に』

私は小さい頃から人付き合いの苦手な子だった。
誰かと遊ぶよりも1人で本を読んだり、人形遊びをしたり、字書きをしたりしている方のが好きな子であった。
一人で遊んでいる私に構いに来た母に「や!!あっち行って!!!」とにべもなく叫んだこともあったらしい。

それが祟ってか、私は人との関係を深めたり持続させるのがほぼ不可能に近い人間に成長していた。
そもそもが、性格がコミュ障を極めた根暗陰キャに成長したのだから絆を強めることが出来ないのも仕方が無いのでは?これを書いている今、だんだんそう思えてきた。

周りの友達は、一緒に出掛けたりなんかして仲を深めているのに対し、私は遊ぼうとお誘いの声掛けをされることがまず無い。
いつの間にか後日友人と話をする機会が会った時に「この前あいつとあそこに遊びに行って」と聞かされて(誘われてないなぁ……)と若干の悲しみに浸るのが殆どである。何だか私は友人から必要とされていないようで悲しくなってしまうのだ。

そんな折、私にも「君と一緒なら」と思える相手がいる。
ホイップ君という名前のふわふわな白いクマのぬいぐるみだ。そう、クマのぬいぐるみなのである。

……やめてくれ、画面の前の君。そんな哀れんだような目でこの文を読まないでくれ。私だって今だいぶ虚しいことを書いている自覚はある。

某夢の国の世界一有名な青い方のアヒルが、自分の通う大学の課題で作ったと名高い設定が着いた、某夢の国のグッズ専門ショップ限定で売られているクマのぬいぐるみ。それがホイップ君だ。中学の時に夢の国に沼り、ショップに行って運命の出会いを果たし、キャストさんに勧められるがママに買った子だ。

今まで数々のインパに付き添ってくれた唯一無二の相棒とも言える。時に3週間のジャングルの旅を共にし、時にイカれたお茶会で共に狂ったようにグルグル回り、時に空飛ぶ海賊船に乗って共に船長にご挨拶に行ったり、時にマウスビを共に見て、時に共にマジミュで泣き、時に共にトューン最前でエレパレの地蔵をし、道行く人々に手を振ってちょっかいを出す。そんな思い出の数々を共有してきた大切な相棒だ。

そんな相棒の1番のお仕事。それは、フリグリでキャラと遭遇してキャラ見知りを起こし、その場で回れ右をして逃げ去るか、囲いに加わらず遠目から眺めて日和る私の背中を「1人じゃないよ」と押し、キャラの気を引くことである。

所詮友達と仲を深められない私は、一緒に行ってくれる人が居ないので必然的にホイップ君と2人でインパする事になる。
そうなると、ホイップ君しかキャラ見知り起こして日和る私を勇気づけれる者が居ないのだ。

私の『君と一緒に』は、これだ。

君(ホイップ君)と一緒に、フリグリに挑む。
君(ホイップ君)と一緒に、アトラクを楽しむ。
君(ホイップ君)と一緒に、ショーパレを堪能する。

こうしてこれからも、私達は『君と一緒に』を重ねていくのだろう。
いつか一応お友達に据えている『人間』とも『君と一緒に』を重ねて仲を深められる日が来ることを切実に祈りながら。

1/6/2023, 6:00:00 PM