周りにとけ込めない女の子

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12/27/2023, 9:18:45 AM

変わらないものはない

12/24/2023, 9:35:18 PM

31.イブの夜


「お届け物でーす。」インターフォンが鳴り、
声が聞こえる。なんか買ったふだろうか?
そんなことを思いながら玄関を開けた。
「お荷物の確認とサインお願いしまーす。」
配達員の男は金髪で、チャラそうな人だなって思いながら荷物を確認した瞬間…目が飛び出そうになった。
こんなの嘘だろうと思った。彼女からのだった。
でもそんなものが送られてくるはずがない。
だって彼女は、去年病気で亡くなってしまったの
だから…
俺は金縛りにあったかのように固まってしまった。
そんな俺を見て「大丈夫っすか?」チャラそうな
配達員の男に言われ、我に返った。
慌ててサインをし、受け取った。
「あざしたー」配達員の男はやる気のない礼をして
姿を消した。配達員から受け取った物は小さかった。
開けてみると俺宛の手紙が入っていた。
懐かしい彼女の文字。彼女の名前。

  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〇〇へ
あなたのことがずっと大好きで、
今でもずっと大好きだよ。
私よりいい彼女作って幸せになってね。
いつでも見守ってるから。
𓏸𓏸より
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お前以外いるわけないじゃん…」
そんな言葉がポツリと涙とともに漏れた。
久しぶりに彼女の名前を口にする。
懐かしい。愛おしい。寂しい。悲しい。
色んな感情が重なって言った。



「配達お疲れ様でした。彼は元気そうでしたか?」
依頼人からメールが届いていた。
報告を事務的に入れてスマホを胸ポケットにしまう。
「仕事完了!お互い幸せになれよ〜」
配達員の男はポツリと呟き、夜空を見た。

今夜はクリスマスイブ。
奇跡の一つや二つ、起きてもおかしくはないだろう。
配達員の男は穏やかに微笑んだ。

12/20/2023, 3:14:55 PM

30.ベルの音


僕の家の近くはベルの音が鳴る。
まぁ、僕の家といっても孤児だから施設だけど。
小さい時は親がむかえにきてくれると思ってたから、頑張ってきたけど、どんどん成長するにつれて
親が迎えに来ないことに気づいていた。
なぜ親は僕を捨てたのか。どうして見捨てたのか。
知りたかった。でも、施設の人に聞いても話を
そらされてしまう。
ベルの音が鳴ると、みんな施設の中に入ってくる。
小さい子達が沢山いる。
中学生くらいなのは僕ぐらいだろう。僕はこんな施設からでたかった。自由になりたかった。
親がなぜ見捨てたのか理由を知りたかった。

数日後、僕は施設をでた。見つからないように…
静かに門をくぐり抜け外へ出た。初めての外だ。
だが想像していた外とは違かった。
僕の目に見えるのは、まるで戦争が終わったあとの
ような…怪物が暴れていたあとのような…そんな感じの風景が拡がっていた。そこで僕は悟った。
親は死んでしまっていたんだと…
ベルの音が聞こえた。僕は戻ろうとした。
でも戻れなかった。足が動かない。
後ろからものすごいスピードで動く何かがいる。
振り向くと、化け物がいた。僕は食われるのだと覚悟を決め目を閉じる。まだベルが鳴り響いている。
僕は施設からでるんじゃなかった。と後悔していた。

12/19/2023, 12:44:43 PM

29.寂しさ


何も変わらない日常。帰ってくる家には誰もいない。
親は夜まで帰ってこない。
帰ってきても顔を合わせることはない。
俺が小さい頃、親が離婚した。
俺は母さんの方について行った。でも今の母さんは、
精神がおかしくなり変な男について行って、
酔って帰ってくる。そんな親が嫌いであんな風には
なりたくないと思った。そして寂しかった。
1人で家にいる時間が嫌いだった。

初めての彼女ができた。その子は実行員が一緒になってから、ずっと隣にいた。休み時間も放課後も、実行員の仕事がない日でも。
好きな人のタイプとか、恋愛関係の質問を
山ほどしてきた。「ねぇ、もうすぐクリスマスだよ。恋人たちの季節だよ。なにか予定ある?一緒にどこか行かない?」可愛いと思った。だから、
求められているとおりに告白をした。
パズルの最後のピースをはめるみたいに。
手を繋ぐのも不快ではなかった。
いい匂いがするハンドクリームの香りに包まれる。
俺の日常は明るく変わった。彼女の愛に答えるように俺も頑張って愛を伝えていた。
でも俺の空いた心は埋まらなかった。
愛が欲しい。親から愛されたかった。
彼女のことを思うと申し訳なかった。
だから、別れた。
君は涙を流しながら俺を睨み帰ってしまった。
あぁ、悪いことをしたな。
そう思いながらまた俺の心にはぽっかり穴が空いた。

12/18/2023, 1:57:03 PM

28.冬と一緒に


君の隣にはいつもあいつがいる。僕はあいつが憎い。
あの子の隣には僕がいたのに!
付き合い始めたら僕のことは後回しで、イチャついて
あいつは僕を見て「奪ってやった」みたいな
ニヤついた顔しやがって。
僕はムカついて、後ろから近付きあいつを階段から
突き落とした。もう後戻りはできない。
ニヤケが止まらなかった。あいつは死んだ。
「やっと邪魔されまくてすむ。」
冬と一緒にあいつは消えた。僕は君の隣に行き、
君を慰めた。これでいいんだ。
君に、あいつは似合わない僕じゃないと…
これで僕も君も幸せだね。

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