周りにとけ込めない女の子

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31.イブの夜


「お届け物でーす。」インターフォンが鳴り、
声が聞こえる。なんか買ったふだろうか?
そんなことを思いながら玄関を開けた。
「お荷物の確認とサインお願いしまーす。」
配達員の男は金髪で、チャラそうな人だなって思いながら荷物を確認した瞬間…目が飛び出そうになった。
こんなの嘘だろうと思った。彼女からのだった。
でもそんなものが送られてくるはずがない。
だって彼女は、去年病気で亡くなってしまったの
だから…
俺は金縛りにあったかのように固まってしまった。
そんな俺を見て「大丈夫っすか?」チャラそうな
配達員の男に言われ、我に返った。
慌ててサインをし、受け取った。
「あざしたー」配達員の男はやる気のない礼をして
姿を消した。配達員から受け取った物は小さかった。
開けてみると俺宛の手紙が入っていた。
懐かしい彼女の文字。彼女の名前。

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〇〇へ
あなたのことがずっと大好きで、
今でもずっと大好きだよ。
私よりいい彼女作って幸せになってね。
いつでも見守ってるから。
𓏸𓏸より
  ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「お前以外いるわけないじゃん…」
そんな言葉がポツリと涙とともに漏れた。
久しぶりに彼女の名前を口にする。
懐かしい。愛おしい。寂しい。悲しい。
色んな感情が重なって言った。



「配達お疲れ様でした。彼は元気そうでしたか?」
依頼人からメールが届いていた。
報告を事務的に入れてスマホを胸ポケットにしまう。
「仕事完了!お互い幸せになれよ〜」
配達員の男はポツリと呟き、夜空を見た。

今夜はクリスマスイブ。
奇跡の一つや二つ、起きてもおかしくはないだろう。
配達員の男は穏やかに微笑んだ。

12/24/2023, 9:35:18 PM