29.寂しさ
何も変わらない日常。帰ってくる家には誰もいない。
親は夜まで帰ってこない。
帰ってきても顔を合わせることはない。
俺が小さい頃、親が離婚した。
俺は母さんの方について行った。でも今の母さんは、
精神がおかしくなり変な男について行って、
酔って帰ってくる。そんな親が嫌いであんな風には
なりたくないと思った。そして寂しかった。
1人で家にいる時間が嫌いだった。
初めての彼女ができた。その子は実行員が一緒になってから、ずっと隣にいた。休み時間も放課後も、実行員の仕事がない日でも。
好きな人のタイプとか、恋愛関係の質問を
山ほどしてきた。「ねぇ、もうすぐクリスマスだよ。恋人たちの季節だよ。なにか予定ある?一緒にどこか行かない?」可愛いと思った。だから、
求められているとおりに告白をした。
パズルの最後のピースをはめるみたいに。
手を繋ぐのも不快ではなかった。
いい匂いがするハンドクリームの香りに包まれる。
俺の日常は明るく変わった。彼女の愛に答えるように俺も頑張って愛を伝えていた。
でも俺の空いた心は埋まらなかった。
愛が欲しい。親から愛されたかった。
彼女のことを思うと申し訳なかった。
だから、別れた。
君は涙を流しながら俺を睨み帰ってしまった。
あぁ、悪いことをしたな。
そう思いながらまた俺の心にはぽっかり穴が空いた。
12/19/2023, 12:44:43 PM