目の前に映るのは、いつもの私。でも、毎日毎日見ていると、この向こうにはまた違う世界があると思ってくる。鏡の中に入って、鏡の中の私になって。鏡の中なら幸せになれるのじゃないかと錯覚してしまう。鏡の向こうの私と手を繋いで。ただの雑談をするの。鏡は怖い時もあるし、見てて、とても変化があるものだと思う。鏡が映し出す世界はとても小さく、少しものだけれど。それでも、私はその世界が十分すぎるくらいに感じる。どれだけ小さくても、どれだけ大きくても。その人がその価値を感じて、信じれば価値が生まれるのではないだろうか。私は鏡の向こう側の世界でもそう思ってくれる私がいることを願っている。
ねぇ。いつからだっけ。歩いてる時に手を繋がなくなったのは、私はあなたが寝てるその隣でずっと手を握りしめていた。これからはずっと一緒だよ。あなたとずっと永遠に。
解説
彼と彼女は心中をしようとしている。彼が先に逝ってしまったため、彼女は手を繋いで果てようとしている。
桜を見に行った。とても綺麗だった。海に遊びに行った。とても楽しかった。もみじ狩りをしに行った。とても嬉しかった。雪遊びをした。何かが足りなくて、何も楽しめなかった。君がいない世界はこんなにも醜く見えるんだね。次に目を覚ました時に見た光景はまさに理想を具現化したようなもので、空はピンク色で色づいており、少しの池があって、鯉や、見たこともない綺麗な魚がいて、水がとても綺麗で、木も、食べたいものが何もかも実っている。でも何かが足りない。虚しい。彼女が欲しい。彼女とこの景色を見たい。あぁ、どこ、どこにいるの、「○○くん!」あぁ、また君に会えた。君とならどれだけ辛い世界でもずっと、ずっと幸せだ。僕は彼女を力強く抱きしめた。
解説
春、夏、秋。次は冬だ。でもその前に彼女は死んでしまった。社会も醜く見えて、生きる希望を失った彼は彼女に会いに行くために自ら死を望んだ。彼女と再会はできたようだが、自殺をした人が行くところは決まっている。地獄だ。彼女は彼と行くことを選ぶだろうか…
自殺をした方が落ちる地獄はホントにあるのでしょうかね…自殺は「逃げ」。と言う考えよりも自殺と言う「方法」、「選択」があるだけだと私は思います。推奨はしませんけどね。もし私以外全員が亡くなってしまったら嫌ですから。以上自己満でした。
小学校の卒業式。もうこの単語すら懐かしく感じる。あぁ歳をとったなぁ、コソッと囁いた私の声は君に届いたようで。今まで一緒に歳をとってくれてありがとう。これからもずっと一緒に歳をとっていこうね。プロポーズ紛いのことをされた。もちろん!私は笑顔で返した。あの時からまた時がたって、私の隣に今、君はいない。縁側で、一人で座っている私は会いたい。と呟いた。家の中では子供たちがドタドタと忙しなく走り回っている。歳をとるのは私だけになってしまいましたね。また会う時にシワシワになっていてもびっくりしないでくださいね。そう心の中で話しながら左薬指に光っている指輪に涙を垂らした。
解説
最初は10代の頃の話。次の場面では60.70と言ったところか、そこで、彼女の言っている君。とは10代の頃に話していた彼。結婚をして、子供たちも生まれ、孫もいる。でも、彼が隣にいないのが寂しくて会いたくて仕方がない。彼女はそう思っている。
余談ですが私は小学校の卒業式で全員でダンスを踊ったのが懐かしい思い出です。今まで色々あったけれど、それを乗り越えられる。乗り越えられた仲間たちと一緒に居られたことがとても楽しくて、でも終わりの時間が来るにつれ、寂しい気持ちで、溢れていました。卒業式が来て、中学に入り、どれだけ時間が経っても、卒業式が忘れられず、辛い時には会いたくなって、寂しくなって、悲しかったです。でも、どれだけ辛くても、どれだけ、寂しくても。どちらにしろそれには終わりがあると思います。昔のことなど思い出すな、過去を振り返るなと言う人もいますが、過去にはかけがえのないもの思い出や、甘酸っぱい物語など、辛い事以外にもあります。今までどうやって乗り越えてきましたか?辛いなら昔のことを思い出して、浸ってみるのもいいのではないでしょうか。少なくとも、私はあなたを応援しています。あなたが幸せで、楽しく生きていけることを願っています。
主より。
私の母は私がどんな姿になっても愛してくれると言った。今、私はとある事情で横になり、化粧もしてもらい、暗闇の中で過ごしている。あぁ、こんなにも綺麗になれるなんて、自分でも見たかったなぁ。さぁ、そろそろお披露かな。暗闇の窓が開き、少し眩しいくらいの光が差し込む。みんなが私を覗き込んでいる。その顔は涙でいっぱいだった。みんな、綺麗だね。大好きだよ。また遊ぼうね。また会おうね。元気でね。と、声をかけてくれた。こんなにも沢山の人から素敵な言葉を貰えるなんて、最高の最後だ。ただ、私は一つだけ。お母さんに聞きたいことがある。こんな姿でも。もう二度と会えなくても。私を忘れずに愛してくれますか?
解説
暗闇の中。というのは棺桶の中。みんなが最後に彼女に声をかけている。お母さんがどんな姿でも愛してくれると言ったから、最後に棺桶に入ってもう会えない彼女の姿でも愛してくれるか彼女は知りたかった。